オカムラは3月1日、AI搭載ロボットと遠隔操作技術を組み合わせピッキング作業の自動化を実現する「PROGRESS ONE(プログレスワン)」事業で、AIを搭載した自律ピッキングロボットと遠隔操作システムのプロトタイプを作成したと発表した。
「PROGRESS ONE」は、AIを搭載したロボットによる自律ピッキングと、ロボット単独では難しい作業を遠隔操作技術の活用により人が倉庫から離れた場所でロボット操作を行い遠隔でピッキング作業を行う、ハイブリッド型の物流自動化ソリューション。
今回作成したプロトタイプは、双腕のピッキングロボットとオペレーターが操作する遠隔操作システム、機械学習を備えた自社開発AIで構成されている。
ピッキングロボットは、吸着と多指ハンドを対象物に合わせて使い分けることが可能。両腕を使うことで、蓋つきの箱など単腕のロボットでは難しい対象物をつかみ上げることもできる。ロボットアームは同社が開発したもので、関節の数や寸法の比率を人の腕の動きに近くなるよう設計。オペレーターが遠隔操作をする際に操作がしやすい構造となっている。
遠隔操作システムには、自律ピッキングから遠隔操作に切り替わる際のマッチング機能と遠隔操作機能を実装。自律ピッキングができずに遠隔操作に切り替わる際、ロボットと待機中のオペレーターをマッチングし接続することで、1人のオペレーターがさまざまな物流拠点に設置された不特定多数のロボットを遠隔操作することができる。
マッチング後、オペレーターはAIの対象物認識を補助するために対象物をマウス操作で指示する「対象物指定モード」で操作する。「対象物指定モード」でピッキングできない場合は、ゲームコントローラーでアームを操作する「ゲームコントローラーモード」や、操作に適した形状の専用データグローブとジェスチャーを認識するカメラでアームを操作する「モーションキャプチャーモード」で遠隔操作を行う。
ピッキング対象物の認識には、独自開発した機械学習を備えたAIを活用しており、事前のデータ・商品登録が不要。ロボットの自律ピッキングとオペレーターによる遠隔操作の動作データは、クラウド上のグローバル学習サーバーに集約され、継続的に機械学習を行い各拠点のロボットにフィードバックすることで、AIが認識できる対象物を拡充し、現場で使うほど作業効率が向上する仕組みになっている。
オカムラは、「PROGRESS ONE」に活用するAI搭載のロボットと遠隔操作プラットフォームについて引き続き自社開発を進めており、さまざまな対象物に対応可能なロボットハンドや、対象物検出技術、動作計画策定に関わるAIなどの技術開発パートナー、実証実験パートナーと連携を検討。2022年度から物流現場での実証実験を開始し、2023年度以降のサービス提供を目指すとしている。
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