ウェザーニューズは11月8日、海運業界向けの最適航路選定支援サービス「OSR(Optimum Ship Routeing)」をバージョンアップし、環境規制に対応できる「OSR-e(environment/emission)」の提供を開始したと発表した。
「OSR-e」では、環境規制に対応したルーティングサポートを行い、選択したルートを航行することで削減できるCO2排出量の推定値や、燃費実績の格付け制度であるCII(Carbon Intensity Indicator)評価の見込みを出航前に確認することができる。
これにより、海運事業者によるCO2排出量の削減効果と企業努力を可視化し、環境運航の実現をサポートする。
ウェザーニューズでは、創業当初から50年以上にわたって海運業界向けの気象情報を提供し、安全運航をサポートしてきた。中でも、最適航路選定を支援するサービス「OSR」では年間約1万航海をサポートしており、船員の安全を第一にルーティングサポートを行い、航海で要求される到着時間や燃料節減目標の達成を支援。船舶毎の燃料とスピードのパフォーマンス特性を解析した上で、最適なエンジン回転数や予想される気象・海上情報を考慮した複数のルートを提示し、船長と陸上の運航担当者へ情報を提供している。
近年、脱炭素社会を目指したさまざまな取り組みが進んでおり、海運業界でもCO2排出量を削減する具体的な対策が求められていることから、ウェザーニューズでは海運業界の環境運航を実現するため「OSR-e」を開発し、CO2排出量の可視化と削減を推進するルーティングサポートの提供を開始した。
今後、同社はウェザールーティングの支援から一歩踏み込み、海運事業者の環境対策を支援する新サービスの開発に取り組んでいく方針。
これまでに提供してきたCO2などのGHG削減を支援する「CO2排出量監視サービス(CIM)」や座礁事故防止による海洋環境保護に貢献する「座礁対策支援サービス(NAR)」といった環境運航支援サービスに加えて、今後は異常荒天回避に伴う経済的損失を補償する「VPP(Voyage Planning Protection)」や、CO2排出削減量を客観的に評価する「MCB(Marine Carbon Blocking)」のサービス開始を計画している。
なお、同社は2023年1月以降、環境運航支援サービスを1つのプラットフォームで提供することで、それぞれが連携できるシームレスなシステムの提供を予定している。そのほか、自社のサービスコンテンツをデータ化してAPIで提供することで、船主や船舶管理会社の運航管理システムとのAPI連携を可能にする計画も進めている。