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連載 現場が変わる人財育成 第1回 菅田 勝

2023年09月26日/コラム

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連載第1回「Z世代の活かし方と育て方(1)」

あなたの職場で、若手(Z世代)がぼろぼろと辞めていませんか? 厚労省が2021年10月に公表した内容によると、2020年度の就職後3年以内離職率は、高卒が37%、大卒が31%、産業別では物流含むサービス業・小売業が40%前後となっています。某物流準大手企業では、14人入社した新人のうち13人が辞めたとも聞いたことがあります。

人手不足の現在、2024年問題への対応もあり、仕事があるのにドライバーがいないため運べない、チャンスを逃していると嘆く運送会社が多くなっています。若手が入社しないので、平均年齢も着実に高齢化しており(2020年の大型運転手平均年齢は47.5歳)、10年後には全員が50歳半ばとなる会社も増えて、今後人手不足倒産も増加していくでしょう。コロナ後経済が正常化する中、人手を確保できない企業は確実に脱落していくと思われます。

アトラエ社(東証プライム)が2020年に発表した「新入社員のエンゲージメント低下パターン」調査結果によれば、新入社員のうち6割以上が入社から1年後に同スコアが低下しているケースが多いそうです(Atrae社Wevoxレポート参照)。物流業界は常に人手不足で、新人が配属されても計画的な受入育成教育を受けさせることができないまま、眼前の繁忙業務に従事させることとなり、気配りやフォローアップ・サポートもなく放置し続けている企業が多いようですので、もっとスコアが低下しているように思います。

昔は採用さえすれば、これから先輩の仕事のやり方を学びなさい(盗みなさい)と言うだけで、放置しておいても徐々に成長してくれる時代でした。しかし、今ではどうでしょう。そんなことをしていたら、新人がどんどん辞めていく時代(転職すると給与も上がる時代故)に変ってきたのではないでしょうか。多くの企業では、物流機器やIOTは進歩しているけれど、新人の育成や定着に関する取組みはほとんど変わっていない、なおざり企業が多いように思います。あなたの職場はどうでしょうか?

<若者意識の変化に対応しないことが離職を招く原因に>
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なぜ、私がこう言うのか。それは昨今の若者意識が大きく変化していると感じるからです。若手(Z世代)について、リクルートが2022年6月公表した「VUCA×Z世代の新入社員意識調査2022」によると、『働くうえで大切にしたいこと』で最も多かった回答が「周囲(職場・顧客)との良好な関係を築くこと」で45%、次点が「元気にイキイキと働き続けられること」で34%に上りました。(少なかった回答は「失敗を恐れずにどんどん挑戦すること」が25%、「何があっても諦めずにやりきること」が14%)

また、『働きたい職場の特徴』で多かった回答は「お互いに助け合う」が70%で、10年前から21%アップしています。『上司に期待すること』では、「相手の意見や考え方に耳を傾けること」が54%、「職場の人間関係に気を配ること」が33%と多く、一方で最も低かった回答は「仕事がバリバリできること」で10%でした。

こうした若者の意識や価値観から判断すると、「文句ばかり言わないで、黙って仕事しろ」といった昭和世代のような感覚(押さえつけ型の職場)で若手に接していたら、今の若手は定着しません。幻滅してどんどん辞めていってしまうでしょう。私達受け入れる側も世代間ギャップを理解した上で、接し方や育て方を進化させる必要があります。

そこで、次回からはZ世代を職場に定着させるために効果的な手法を紹介していきたいと思います。

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