2024年秋、物流施設「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」内に、都心型のドローン実証の場「板橋ドローンフィールド(板橋DF)」が誕生する。三井不動産と日鉄興和不動産、日本UAS産業振興協議会(JUIDA)、ブルーイノベーションの4者が施設の監修・運営を担い、ドローンによるラストワンマイル配送、災害時の物資搬送、施設点検など実証実験の場を提供する。
物流の2024年問題をはじめとする労働力不足や昨今の自然災害など、さまざまな課題解決に向けて、業界の垣根を超えてスタートアップやアカデミア、公的機関と連携し、ドローンの社会実装を加速することが狙い。
東京都板橋区に開発中の「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」の倉庫一部をドローン事業者へのR&D区画として整備するとともに、広大な敷地をドローン飛行用のフィールドとして活用する。JUIDAによると、物流施設に併設されたドローンの実証実験の場は東京都初。
この取組みについて、6月5日から幕張メッセ(千葉県)で開催されている大規模展示会「第9回ジャパンドローン2024」ブルーイノベーションブースで発表会を行った。
<左から、日鉄興和不動産 池田智チーフマネージャー、ブルーイノベーション 熊田貴之社長、三井不動産 小菅健太郎主事>
発表では、ブルーイノベーションの熊田貴之社長が挨拶に立ち、「板橋DF」のコンセプトとして「人と技術のプラットフォーム」を挙げ、「多くの人がつながる工夫をし、あらゆる技術開発につなげていきたい。社会実装を加速させる施設に」と抱負を語った。
三井不動産の小菅健太郎 主事は「社会課題解決へドローンの果たす役割は大きい。産業デベロッパーとしてさまざなプレイヤーとオープンイノベーションを推進したい」と力強く語り、日鉄興和不動産の池田智チーフマネージャーも「都市部の実験施設として気軽に利用していただき、ドローン産業の発展に貢献したい」と呼びかけた。
2022年12月にドローンの有人地帯における目視外飛行(レベル4)が解禁されたが、現状のドローン配送は、山間部や島しょ部での運用が中心となっている。都内に研究開発と実証実験の場があることで、ドローン業界全体の連携や発展につながることが期待される。利用に関しては「趣旨に賛同してくれる企業であれば国内外を問わずオープンマインドで迎えたい」(熊田社長)という。
「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」は、都内最大規模の街づくり型物流施設。都営三田線「西台」駅から徒歩10分とアクセスに優れ、延床面積は25万m2超。三井不動産と日鉄興和不動産が共同開発し2023年2月に着工、2024年9月末に竣工予定。板橋区と入居予定のヤマト運輸により「災害に関する4者基本合意書」を締結している。将来的には河川上空から都心各地へアクセスするドローン物流配送拠点として活用していくことを検討している。