大日本印刷(DNP)は3月21日、DXを活用し書籍流通の選択肢を増やす「未来の出版流通プラットフォーム」構築への取組を2月から開始したと発表した。
需要の高い本を書店が主体的に販売できる仕組みにより、選書・発注から物流・商流までシンプルなフローを提供。売り損じや返本を抑制することで製造・流通を適正化を図り「本が読まれ続ける未来」を目指す。
2025年1月に経済産業省が発表した「関係者から指摘された書店活性化のための課題」によると、書店の持続可能性リスクが顕在化している。その要因となっているのが、デジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れや書店の粗利率の低さ、高い返品率などの課題だ。
こうした課題解決と、出版文化・産業の持続可能性の向上を目指し、DNPは2024年7月に、出版関連事業の未来の在り方を検討する社内組織を発足。関連各社が適切な利益を得られるよう、本の「つくり方」と「届け方」を変える仕組みを提案し、構造的な課題解消に取り組んでいる。
その一環として、書店が独自に発注・販売して利益を得る仕組みの必要性に着目。「未来の出版流通プラットフォーム」の構築に着手した。またその実証として、需要の高い「復刊文庫」を書店が主体的に販売できる仕組みを書店と出版社に提供する。
プラットフォームでは、書店に提供する書誌データの集約・一覧化:新刊・既刊・重版未定を問わず、出版社からの書誌データをDNPが集約し、プラットフォーム上で書店が閲覧できるようにする。これにより書店は売りたい本のタイムリーな仕入れが可能となり、さらにDNPが持つマーケティング情報と掛け合わせることで、新たな需要の創出にもつなげる。
また、出版社と書店のマッチングや連携・交渉についても支援するほか、書店による選書・発注から物流・商流まで、シンプルなフローを提供することで無駄を省き、売り損じと返本を抑止する狙いもある。物流については取次とも連携する。
取組の第一弾として「DNP復刊支援サービス」の提供を開始する。重版未定文庫本を、書店の注文に応じ復刊させて再流通させるという取組で、DNPのデジタル製造による少部数印刷で復刊し、2025年5月1日から販売する。復刻版は1タイトルにつき1書店の独占販売を想定。同サービスを複数の書店で実施し、生活者が名作文庫と出会う機会の創出につなげたい考えだ。
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