NX総合研究所は6月13日、3か月ごとに実施している「企業物流短期動向調査(NX 総研短観)」に附帯する形で、物流の2024年問題に関する追加調査結果を公表した。
<「2025年3月現在、2024年問題の影響があるか」の質問>
「2025年3月現在、2024年問題の影響があるか」との質問には、「影響がある」が 68.1%、「影響はない」31.9%となっている。「影響がある」の割合を業種別でみると、「食料品・飲料(81.5%)」、「木材・家具(82.6%)」、「パルプ・紙(97.1%)」、「窯業・土石(85.7%)」が比較的高く、それぞれ8割を超えている。
影響があると答えた企業のうち「足元(2025年3月現在)において、どのような影響があると感じているか」については、「トラック輸送力の確保のしやすさ」は、「やや厳しい」が 57.9%と最も多く、次いで「どちらでもない」が 19.4%、「ほとんど問題ない」が 13.4%となっている。「非常に厳しい」と「やや厳しい」を合計した「トラック輸送力の確保が厳しい傾向」は66.0%に上っている。おおむね厳しい旨の回答だが、「ほとんど問題ない」と「全く問題ない」を合計した割合は「化学・プラスチック(22.2%)」、「輸送用機械(25.7%)」が比較的高くなっている。
「トラック運賃状況」については、「やや高くなった」が 61.8%と最も多く、次いで「高くなった」が 27.5%、「横ばい」が 10.4%となっている。「高くなった」と「やや高くなった」を合計した「トラック運賃の上昇傾向」は 89.3%に上っている。「高くなった」の割合を業種別でみると、「金属製品(41.7%)」が4割超、「パルプ・紙(36.4%)」、「窯業・土石(38.9%)」、「輸送用機械(35.9%)」が約4割となっている。
また、「2024年問題に向けた取組」では、「すでに取り組んでいる」が 48.4%と最も多く、次いで「取組を検討している」が 25.7%、「どちらでもない」が 17.6%であり、2024 年問題に向けた取組の実施状況は半数程度に留まっている。「すでに取り組んでいる」の割合を業種別でみると、「食料品・飲料(54.7%)」、「木材・家具(52.6%)」、「パルプ・紙(75.8%)」、「鉄鋼・非鉄(60.5%)」、「一般機械(52.8%)」、「輸送用機械(51.3%)」、「精密機械(57.1%)」が5割超となっている。
2024年問題に向けた取組を検討している、すでに取り組んでいると回答した企業がどのような取り組みをしているかについて質問。その結果「輸送スケジュールやリードタイムの緩和」は 52.2%がすでに取り組んでいるものの、それ以外は3割未満の実施状況となっている。
特に、「共同配送など他社との連携」や「バース予約システム導入などドライバーの負担軽減」など自社での完結が難しい取組や費用が発生する取組に関しては、実施されていない割合が比較的高い傾向にある。
総括として、2024年問題は業種を問わず影響を及ぼしており、その影響はトラック輸送量の困難さやトラック運賃に反映されるようになっている。日本銀行「企業向けサービス価格指数」によると、陸上貨物輸送は徐々に指数が高まっている。特に海上貨物輸送は 2021年から急上昇し、2025年においても120を超える水準で高止まりしている。
ほぼ半数の企業が 2024年問題に向けた取組を実施しており、「輸送スケジュールやリードタイムの緩和」、「モーダルシフトの推進」、「バラ積みを廃し、発着一環のパレット利用を推進」など自社内で完結できることから取り組んでいる様子がうかがえる。
一方、「共同配送など他社との連携」や「バース予約システム導入などドライバーの負担軽減」など自社での完結が難しい取組や費用が発生する取組に関しては、実施されていない割合が比較的高い傾向にある。
今後の見通しについては、厳しさが増すと予想する声が多く寄せられた、とのことだ。
2024年問題/荷主への相談「運賃見直し」が最多、8割が協議・見直しへ