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野村不動産/BOX型の欠点克服した次世代物流施設を竣工

2023年03月15日/物流施設

野村不動産は、BOX型物流施設の課題である上下搬送を自動化するソリューションを、三井物産都市開発との共同開発で1月末に竣工したマルチテナント型物流施設「LOGIBASE厚木愛川町」(神奈川県愛甲郡愛川町)で初めて提供する。

同ソリューションは、入居企業への付帯サービスとして無償で提供する予定。ロボットを用いた自動化ソリューションを、デベロッパーが費用負担してテナントへ提供する事例は極めて珍しい。

<LOGIBASE厚木愛川町>
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この自動化ソリューションは、ZMPの自動搬送ロボット(AGV)と不二輸送機工業製の垂直搬送機とで構成。両機器をシステム連携することで、パレットを積んだAGVが垂直搬送機に乗り込み、垂直搬送機で階層を移動、移動した先の階でAGVがパレットを指定場所まで搬送するといった一連の流れを自動化する。

BOX型の物流施設では、トラックバースを上層階に設けない分、ランプウェイ型の施設と比べて賃貸面積に占める倉庫スペースの割合が高く、保管効率が高い。一方で、1階の荷捌きエリアから上層階への荷物の搬送を垂直搬送機や荷物用エレベーターといった昇降設備で行う必要があることから、上下階搬送にかかる手間や時間がオペレーション上の課題となっていた。

今回、野村不動産は、自動化ソリューション開発のオープンコンソーシアム「Techrum(テクラム)」で培った知見をもとに同ソリューションを開発。2月中旬に開催した同施設の内覧会で初公開しており、参加企業から大きな反響があったという。

<上下搬送自動化ソリューション>

近年、LOGIBASE厚木愛川町が立地する神奈川県内陸工業団地やその周辺エリアでは、工場跡地等を利用した大規模物流施設の開発が加速しており、テナントの獲得競争も過熱している。デベロッパー各社は、テナント誘致に向けて競争優位性を高めるためにさまざまな施策を打ち出し、他社との差別化を図っているが、そもそも、BOX型とランプウェイ型の施設では上下階搬送の効率性から、テナント企業がランプウェイ型を好む傾向にあるという。

そのため、野村不動産ではLOGIBASE厚木愛川町をBOX型で開発するにあたり、競争力を高める施策のひとつとして、上下階搬送の自動化ソリューションを提供。BOX型が本来備えている保管効率や賃料面での優位性に加えて、欠点である縦搬送を自動化によって解決することで、さらなる物件価値の向上を図った。

<エントランス>
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<倉庫内>
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<荷物用EVと垂直搬送機>
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LOGIBASE厚木愛川町は、圏央道「相模原愛川IC」から3.8kmの距離に位置しており、神奈川県内への配送に加えて、首都圏広域配送にも対応可能。また、5km圏内には主要路線業者の拠点が9拠点立地しており、荷物の持ち込みも容易に行うことができる。

<作業用空調設備>
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<危険物倉庫建設地>
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施設面では、全4層の倉庫のうち1階を除く上層階に作業用空調をあらかじめ設置したことで、テナント企業によるメンテナンスコストや退去時の原状回復費等の負担を軽減。敷地内には、増加している危険物品の適正保管ニーズに応えるため、8月末の竣工予定で危険物倉庫の建設を進めている。

そのほか、同施設では、安全対策としての敷地内でのトラック・乗用車・自転車・歩行者の動線分離、徒歩圏内にコンビニ・飲食店・バス停がある立地優位性、人感センサー付照明による電気代削減、入居時の営業倉庫申請サポート、シャトルバス運行などのサービスを提供する。

同施設については1棟および2分割での利用を想定しており、現状ですでに多くの引き合いがあるものの、引き続き入居希望の相談にも対応していく方針。

■「LOGIBASE厚木愛川町」概要
所在地:神奈川県愛甲郡愛川町中津4031-1
交通:圏央道「相模原愛川IC」3.8km、JR相模原線「原当麻駅」4.5km
形状:地上5階建て倉庫4層 ボックス型
構造:RCS造・耐震
敷地面積:2万52.48m2
延床面積:3万7667.84m2
最小区画:1万8195.44m2
竣工:2023年1月末
バース数:31台
搬送機器:垂直搬送機4基(将来増設対応可)、荷物用エレベーター4基
駐車場:トラック待機場12台、乗用車駐車場70台、駐輪場70台、バイク置き場12台

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