プロロジスは11月12日、「2026 年度版グローバルサプライチェーン動向」を発表した。
調査結果では、世界のサプライチェーンを再構築する 3つの変革要因が浮かび上がった。3つの変革要因とは、エネルギーの信頼性、AI(人工知能)、立地の3要因が、グローバルサプライチェーンに変革をもたらしていることが明らかとなった。また、新たな最優先事項として“レジリエンス”―すなわち、適応し持続できるネットワークの構築が重視されていることが明らかとなった。
エネルギーの信頼性では、過去1年間で、約9割の企業が価格変動や気象による停電など、何らかのエネルギー供給の混乱を経験した。その結果、経営層の多くが電力の安定供給に不安を抱いており、7割が「他のいかなる要因よりも停電を恐れている」と回答した。しかし、先進的な電力バックアップシステムを備える企業は全体の3分の1未満にとどまっている。今後については、9割の企業が「信頼できるエネルギーインフラを備えた拠点に追加費用を支払う意思がある」と回答している。
AI(人工知能)については、現在、企業の約7割がAIを高度または組織運営を変革するレベルで導入しており、特に、品質管理やリスク検知の分野で活用されている。2030年までには、サプライチェーン上の意思決定の大部分を AI が担うようになると予測されている。
立地については、リージョナライゼーション(地域単位での最適化)が加速している。主要都市や消費地への配送は、長年にわたるサプライチェーンの重要課題である。グローバリゼーションとオフショアリングの時代が数十年続いたが、現在では経営層の約6割が「2030年までにサプライチェーンの地域単位での最適化が進む」と予測している。実際、企業の4分の3以上がすでに地域ネットワークを構築済み、または構築中であり、とくに消費地周辺での展開が進んでいる。現在では、企業が事業拠点を選定する際の要因として、「エネルギーの信頼性(40%)」が最重要項目となっており、グローバリゼーションの時代に重視されてきた「人件費(36%)」を上回っている、としている。
なお、調査は、プロロジスが米国の調査会社ザ・ハリスポール社と共同で実施している独自の年次調査であり、今回が2回目の実施となる。調査は、2025年8月に、米国、英国、ドイツ、インド、中国、メキシコの企業経営幹部1800名以上を対象に実施。
調査期間は2025年8月10日~15日、調査対象は従業員250名以上の企業経営幹部、計 1816名。(米国:507名、英国:268名、ドイツ:270名、インド:258名、中国:255 名、メキシコ:258名)。