産業用ヒト型ロボット「ヒューマノイド」の社会実装を目指し、INSOL-HIGH、山善、ツムラ、レオン自動機の4社が3月26日、コンソーシアム「J-HARTI(Japan Humanoid Robot Training&Implementation、ジェイ ハーティ)」を設立した。
7月には、最大50台の中国製ヒューマノイドロボットと、ロボットに人間の動きを学ばせるためのオペレーターなど約100人のスタッフが常駐する、「フィジカルAI・ロボットデータ収集センター」を千葉県湾岸エリアで稼働させる。
2026年度内には定型作業など単純タスクから社会実装を始め、2028年度は汎用化させたデータですぐに使える「拡大普及期」とする計画だ。
<ヒューマノイドが人間の動きを再現するデモンストレーション>
人手不足が深刻化する製造業や物流業の現場では、ヒューマノイドロボットに対し、「人手不足の解消につながる」「単調な繰り返し作業を自動化できる」などと期待する声がある。
ただ、導入するには、正確な動作につなげる大量の学習データが必要になり、個社ではハードルが高い。
生成AIはインターネット上の文章や画像を学習するのに対し、ヒューマノイドロボットは、人が動作を教え、それをロボットが学習する工程が欠かせない。
コンソーシアムによってデータ収集センターを共同運営することで、設備投資を分担しながら企業横断でデータを収集し、実証環境も共有する狙い。
<データ収集センターのレイアウトとロボットエリアのイメージ>

データ収集センターは敷地面積約1400m2の施設で、ロボットエリアは、ヒューマノイドロボットと、同数のオペレーターが作業するスペース。センサーを付けながら、人が手本となる動きを行い、ロボットが学習する。
アノテーションエリアでは、人がロボットの動作映像や作業データを確認し、「つかむ」「運ぶ」などの動作内容を「正解」「不正解」など整理・分類し、AIが仕事を理解できる学習データにしていく。
ヒューマノイドロボットは「目」や「手」に付いた複数のカメラと関節データで動作を記録しており、精度が高まっていくという。
テストエリアでは、秘匿性の高い企業ごとの案件に対応し、実際の作業環境を再現しながらロボットの動作検証や調整を行い、現場導入に向けたテストを行う。
<ヒューマノイドロボットと並ぶ、左からINSOL-HIGHの磯部氏、ツムラの熊谷氏、山善の中山氏、レオン自動機の堺氏>

3月26日に都内で開かれた設立発表会で、ヒューマノイドロボット専用の総合支援プラットフォームを開発・運営するINSOL-HIGHの磯部宗克 代表取締役は、「従来の産業用ロボットは専門的なプログラムが必要だが、ヒューマノイドロボットはAI学習で動く。人を単純労働や身体的負荷から解放してくれる大きな可能性がある」と強調した。
山善の中山勝人 専任役員トータル・ファクトリー・ソリューション支社長は、「商社のネットワークを生かして仕入先メーカーやユーザーに学習データの重要性を説明し、参画を呼び掛けたい」と早期実装に期待を込める。
また、医薬品を製造販売するツムラの熊谷昇一 執行役員 生産本部長は、「医薬品の安定供給のために自動化は必須。既存設備を改造しなくても人をヒューマノイドロボットに置き換えることができるのでは」とイメージする光景を語った。
食品機械の開発・製造・販売を行うレオン自動機の堺義孝 常務執行役員 生産本部長兼ロボット事業担当も、製造現場の人手不足を指摘するとともに、「セキュリティ面から海外サーバーとつなぐのはリスクがあり、国内で学習データをつくることに意義がある」と話した。
コンソーシアムの体制としては、事務局をINSOL-HIGHが担い、山善、ツムラ、レオン自動機が運営委員を務める形で、他の企業にも広く参画を呼び掛ける。すでに加盟の検討が進んでいる企業もあり、当面10社ほどの規模を目標としている。
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