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日通総研/国内貨物総輸送量2.4%減の11年連続マイナス

2010年09月24日/調査・統計

日通総合研究所が9月22日に発表した「2010年度経済と貨物輸送の見通し」(改訂)によると、2010年度の国内貨物総輸送量は、内需に力強い回復が見込めないなか、2.4%減と11年連続のマイナスとなる見通しだ。

消費関連貨物は、個人消費の増勢がいくぶん強まることに加え、夏場の猛暑効果や前年度における大幅減の反動もあって、1.5%増と増加に転じる。

生産関連貨物は、設備投資や鉱工業生産がプラスに反転するため、化学製品には比較的堅調な動きが見込まれるほか、前年度まで不振であった機械類や鉄鋼なども盛り返すものと同研究所は見ている。一方で、石油製品などは依然としてマイナスが続くことから、トータルでは1.3%増にとどまる。

建設関連貨物は、公共投資が1割以上落ち込むことに加え、住宅建設も水面上に浮上するには至らないため、砂利・砂・石材や建設廃土などを中心に8.3%減となり、輸送量を大きく下押しする見込みだ。

輸送機関別にみると、JRはコンテナに4%台半ばの増加が期待される一方で、石油需要の低迷を受けて、車扱には引き続き水面下の動きが予測されることから、全体では5年ぶりのプラスに転じるが、2.4%増にとどまる。

内航海運は、上期については、鉄鋼や石灰石の大幅増などを受けて高い伸びで推移した模様だが、下期に入ると石油製品を中心に停滞が予測され、年度全体では1.9%増となる。営業用自動車は、消費関連、生産関連貨物に1~2%台の増加が見込まれるが、建設関連貨物の不調により、0.8%の増加となる。

国内航空は、前年度における大幅減の反動に加え、国際貨物の転送需要の増加というプラス要因がある一方で、一部路線における運休や減便、機材の小型化など供給力の低下が足かせとなり、0.8%増と微増にとどまる。

自家用自動車は、大きなウエイトを占める建設関連貨物の停滞等により8.3%減となり、その他の鉄道も0.7%減と小幅ながらマイナスが続く見通しだ。

企業物流短期動向調査(速報)によれば、2010年7~9月実績(見込み)の国内向け出荷量「荷動き指数」はプラス15と、前期(4~6月)実績よりわずか1ポイントの上昇にとどまった。10~12月見通しでは、14ポイント低下してプラス1まで下降する見通しであり、荷動きの回復基調にはブレーキがかかりつつある。

業種別「荷動き指数」をみると、15業種中9業種がプラスを示し、荷動き回復の動きが広範囲の業種に広がったが、10~12月見通しでは、マイナスの業種が過半の8業種となった。

エコカー補助金の終了にともなう自動車需要の反動減が見込まれるなかで、大幅な減産が避けられないことから、輸送用機械は前期(7~9月)実績より50ポイント低下してマイナス6になるほか、持ち直しの動きをみせつつあった一般機械もマイナス2と再びマイナス水準まで落ち込む見通しだ。

輸送機関別「利用動向指数」をみると、すべての輸送機関で前期(4~6月)実績より上昇し、一般トラック、特別積合せトラック、宅配便ではプラス水準となった。10~12月見通しでは、鉄道コンテナをのぞいて「利用動向指数」が低下し、プラスの輸送機関は皆無となる見込みであり、全体的に利用は減退方向に向う。

輸出入貨物量「荷動き指数」をみると、外貿コンテナ、国際航空とも前期(4~6月)実績より低下した。10~12月見通しではもう一段の低下が見込まれ、外貿コンテナでは輸出・輸入ともプラス水準を維持するが、国際航空の輸出・輸入ではマイナスへ反転し、荷動きは減退する見通しだ。

国際貨物輸送については、回復傾向が鮮明だった外貿コンテナ貨物(主要9港)の輸出は、2010年度に入っても一般産業機械、電気機械、自動車部品などを中心に高い伸びを維持していたが、アジア向けをはじめとして夏場になって増勢が鈍化している。

リーマンショック後の落ち込みに対する反動増は上期で一巡することから、下期にはさらに伸びが穏やかとなるが、世界経済の拡大を背景に堅調な荷動きが見込まれ、年度全体では11.3%の増加になるものと予想される。輸入も、上期は2ケタ増を堅持する見込みだが、下期は増加率が縮小することになる見通しだ。

品目については、設備投資のプラス成長を受け、機械機器が着実に増加軌道を辿る一方で、消費財には衣料品などの伸び悩みが懸念される。年度全体では8.9%の増加になるものとみられる。

2010年度の国際航空の輸出は、4~6月期には40%を超える伸びを示したが、7月は自動車部品が失速した影響を受け、30%を切る伸び率にとどまった模様だ。

リーマンショック後の落ち込みに対する反動増は上期で収束することから、増勢が徐々に弱まることは避けられないが、IT関連貨物などが引き続き好調に推移することから、下期も底堅い荷動きが期待でき、年度全体では16.6%の増加になるものと見込まれる。

輸入は、好調であった野菜の勢いが衰えたこともあり生鮮貨物には期待はできないが、IT関連貨物などの機械機器や食料品など一部の消費財が増勢を弱めながらも堅調な荷動きとなることから、12.8%の増加となる見込みだ。

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