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国交省/港湾の総合的な津波対策のあり方、中間発表

2011年07月06日/調査・統計

国土交通省は7月6日、港湾における総合的な津波対策のあり方(中間とりまとめ)を発表した。

東日本大震災の被災地の港湾や背後都市の早期復旧・復興の観点から特に急がれる想定津波の見直しの考え方等について、中間的なとりまとめを行った。

今回の教訓を踏まえ、最先端の科学的知見を駆使しても、現時点で、津波の規模や発生頻度を精度良く予測することは不可能であることを再認識すべきとして、津波の規模や発生頻度に応じて、防護の目標を明確化して対策を進める必要があるとしている。

これまでの津波対策では、過去に繰り返し発生し、今後とも発生の可能性が高い津波を想定してきたが、今回の津波はこの想定を大きく上回り、甚大な被害を発生させたたため、今後の津波対策を構築するには、津波の規模や発生頻度に応じて防護の目標を明確化して対策を進める必要があるという。

このため、基本的に二つのレベルの津波を想定している。

一つ目のレベルは、発生頻度が高い津波(以下:発生頻度の高い津波)に対しては、できるだけ構造物で人命・財産を守りきる「防災」を目指すものとする。

二つ目のレベルは、発生頻度は極めて低いが影響が甚大な最大クラスの津波(以下:最大クラスの津波)に対して、最低限人命を守るという目標のもとに被害をできるだけ小さくする「減災」を目指すものとする。

最大クラスの津波は、対策の検討において何らかの具体的なシナリオが必要になることから、最新の科学的知見や歴史的考察のうえに最大規模の津波を想定する。

発生頻度の高い津波は、施設の供用期間や社会経済的な観点を考慮し、その地点において概ね数十年から百数十年に一回程度の頻度で発生する規模とする。

発生頻度の高い津波には、人命を守る、財産を守る、経済活動を継続させることを目標にし、津波防災施設の計画・設計に当たって、堤内地への浸水(防潮堤からの越流)を防止する。なお、堤外地では浸水が想定されるが、人命を守るとともに、港湾の産業・物流施設が早期に復旧でき、臨海部立地企業の業務が継続できるように計画・設計する。

最大クラスの津波は、その地点において概ね数百年から千年に一回程度の頻度で発生する規模で、人命を守る、経済的損失を軽減する、大きな二次災害を防止する、施設の早期復旧を図ることを目標とする。

この場合、堤内地への浸水は許容するものの、土地利用や避難対策と一体となった総合的な対策を講じる。

なお、いずれのレベルの津波に対しても、想定以上の津波が起こりうることや津波防災施設が十分に機能しない場合も想定して、最悪のシナリオのもとに避難計画を策定する。

さらに、施設のみで防護することができず背後地が浸水するおそれがあることを地域防災計画へ明記するなど、施設の限界を明らかにし、防災教育に取り組む。

防災教育においては、沿岸部で地震が発生した場合には、どのような津波が来るのか直ちに判断することは困難であること、陸閘・水門を閉鎖するのに十分な時間がないなどの運用上の問題があることから、住民は地震が発生した場合は即刻避難すべきことに留意する必要があるとしている。

■港湾における総合的な津波対策のあり方(中間とりまとめ)
http://www.mlit.go.jp/common/000149434.pdf

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