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ヤマト運輸/200か所の拠点で「クール宅急便」仕分けルール不徹底

2013年11月28日/3PL・物流企業

ヤマト運輸は11月28日、社内ルールに反した10月25日の「クール宅急便」報道を受け、全拠点に対し、電話による緊急聴き取り調査を行ったところ、「仕分けルールが徹底できていない」拠点が約200か所あることが判明したと発表した。

調査の結果、「クール宅急便」の仕分けルールの不徹底については、「各コールドボックス(運搬用の冷凍・冷蔵庫)からの荷物の取り出しを5分以内に完了させる。

その後、荷物を車載保冷スペースに積み込むまで、荷物を30秒以上外気にふれさせない」という仕分けルールが徹底できていなかった拠点が253か所(全体の6.4%)あることがわかった。

また、仕分けルールは徹底できていたが、荷物が急増した7月の繁忙期に、仕分けルールが守れないことが一度でもあったという拠点が1269 か所(全体の32.3%)あることがわかった。

仕分けルールが徹底できなかった原因として、「仕分けルールの周知と教育が不十分だった」、「配達のエリアや、順序を考えて積み込むため時間がかかった」、「凍結した伝票の引き抜きに時間がかかった」などが理由に挙がった。

また、繁忙期に仕分けルールが守れないことが一度でもあったという拠点の主な原因は、「一時的に仕分け用の資材・機材が不足した」、「配達のエリアや、順序を考えて積み込むため時間がかかった」、「凍結した伝票の引き抜きに時間がかかった」などが挙げられた。

<クール宅急便の輸送工程>
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「クール宅急便」の配達ルールの不徹底については、「車載保冷スペース以外(例:台車での配達や車載保冷スペースの補完)での持ち出しは、クールコンテナを使用する。

配達先へはコールドバックでお届けする」という配達ルールが徹底できていない稼働(セールスドライバーが車輌や台車などを使用して集荷・配達するコース)が10月(平月)の一日平均約3万9100稼働のうち、約5100稼働(全体の13.0%)あることがわかった。

配達ルールが徹底できなかった原因として、「配達先がすぐ近くなので、コールドバックを使用しなかった」、「時間帯指定配達の集中や、複数口(例:一か所へ10個以上の納品)の荷物が車載保冷スペースに入りきれなかった」、「サイズオーバー(120 サイズ超)の荷物が車載保冷スペースに入らなかった」が挙がった。

ヤマト運輸は今回の原因を、「各拠点にルールを周知・徹底し、正しい運用を促すための指導者が不在で、ルールの運用が拠点任せになっていた」「業務量が増加する中、ルールの徹底と拠点の負荷の軽減を両立するための日常の点検、システムの導入、モニタリングなど、サービス品質を持続的に維持するための仕組みが不十分だった」「特に繁忙期における抜本的な対策の検討が不十分だった」「お客さまの視点に立ち、拠点の声に耳を傾け、常に改善に取り組む姿勢が不十分だった」の4点にあると分析。

再発防止策では、4つの原因分析を受け、「拠点の声に耳を傾け、経営が一体となってルールを守り、品質を持続的に維持、向上していくための人材の配置と体制づくり」「「クール宅急便」の取扱量の増加に対応するための体制強化」「品質を維持するための定期的なモニタリングと、ルールの見直し」「「クール宅急便」の総量管理制度の導入」の4点を中心とした再発防止策に取り組む、としている。

今回の事態を受けて、社長と常務執行役員が減俸10%を6か月間の処分を含めて、計15名の役員を処分した。

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