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国土交通政策研究所/物流事業者のASEAN進出への対応策を発表

2014年06月03日/調査・統計

国土交通省のシンクタンクである国土交通政策研究所は5月28日、研究発表会を行い、国際展開への対応の中で物流関連で「ASEANの物流に関する調査研究」の発表を行なった。

「ASEANの物流に関する調査研究」については、加藤賢研究官が発表。タイ+CLM(カンボジア、ラオス、ミャンマー)の経済状況、事業運営上のボトルネック、ボトルネックへの対応策について述べている。

今後タイ+CLM地域に進出を図る日系物流事業者が、進出に備えて準備しておくべき事項として、「優位性を発揮できる自社の強み(差別化要因・競争力)の醸成」が必要としている。

進出の契機となるのは、「日本国内で取引のある(自社の品質やサービスを評価している)、日系荷主事業者のタイ+CLM進出」である。日本での物流業務において、自社が同業他社に対して優位性を発揮できる強み(差別化要因)を醸成し、それをタイ+CLM地域でも提供できる体制を構築する必要があり、日本で十分な優位性を発揮できることが必要であるとしている。

タイ+CLM地域での、日系荷主事業者の物流事業者の選定基準への対応では、選定基準として、QCD(品質・価格・リードタイム)のトータルバランス」「通関等における、現地政府との交渉力」「不測の事態発生時の対応能力」であることから、これらに対応できるよう準備を進めておく必要がある。

荷主事業者のサプライチェーンが更に複雑化、高度化し、全世界に広がってくる段階では、「グローバルなネットワークの有無」「責任一貫輸送体制の有無」も選定基準となるとしている。

物流事業者が単体で、グローバルなネットワークを構築し、責任一貫輸送体制を構築するにあたっては、人・モノ・資金の多額の資産が要求されることから、例えば各地域の物流事業者との代理店契約の締結や、日系物流事業者間での共同企業体の構築等といった対応が必要となると述べている。

そして「進出先での円滑な事業運営体制の構築」が必要とし、「日本人駐在員候補の育成」、「不測の事態への対応力の向上」、「現地人社員を育成するための方策の検討」を挙げている。

このうち、「日本人駐在員候補の育成」では、会社設立~現地人社員への権限委譲の時期に至るまで日本人駐在員が果たす役割は多岐に渡り かつ重要である。事業運営の能力や語学力は勿論のこと、現地人とのコミュニケーション能力や、品質の管理能力等、求められる要素について、日本国内であらかじめ教育を施しておくことが重要であるとしている。

ただ、価格競争力の獲得と保持の面からも、日本人駐在員は可能な限り人数を削減し、内部統制を図りながらも現地化を進めていくことが求められる。幹部候補生となる現地人社員を如何に育成するか、が重要。

「不測の事態への対応力の向上」では、日系荷主・物流事業者がタイ+CLM地域で事業を運営するにあたり、政変リスクや災害リスクへの対応は必要不可欠である。平素から緊急事態を想定した事業継続計画を策定・見直しを実施し、リスクへの対応力を向上させるとともに、現地政府や空港・港湾運営事業者からの情報収集と、荷主への緊密な情報提供が実施可能な体制を構築することが重要である。

「現地人社員を育成するための方策の検討」では、タイ+CLM各国の多くは、発展の途上にある国である。ビジネス経験のある人材は数が限られ、雇用できたとしても高い水準の賃金を保障する必要があり、価格競争力の阻害要因となりかねない。

タイ+CLM各国の多くは、外資単独での法人設立が認められていない場合も多く、現地の優秀なパートナーを選定し、事業運営のがリソースや人材育成ノウハウを獲得する、という手段が現実的であると考えられる。

優秀なパートナーの選定にあたっては、進出以前から代理店契約の締結により品質等を見極めたり、現地の日本人会や商工会といった横の連携による情報収集による選定が有用であると結論付けている。

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