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UPS/ヘルスケア企業のサプライチェーン課題で調査

2014年09月25日/調査・統計

UPSは9月25日、今年で7回目となる「Pain in the (Supply) Chain」(サプライチェーンの課題)調査結果を発表した。

調査では、高まるリスクや複雑な規制、継続するコスト圧力といった環境が、世界、特にアジアでのヘルスケア企業の経営層にとって、同産業にある未開拓の機会に迅速に対応する際の障壁となっていることが分かった、としている。

常にリスクが内在する環境下の事業運営でありながら、ヘルスケア企業経営層のサプライチェーン混乱の可能性への対応は十分とは言えない。過去3年から5年の間に自社のサプライチェーンの4分の1以上が予想外の事象(天災、政治状況、社会不安、停電など)によって影響を受けたことがあるという回答者の割合は、調査対象となった地域のうち、アジアが最大(34%)だった。

このような懸念を抱くヘルスケア企業経営の割合は世界全体では26%にとどまり、うち中南米では22%、北米では13%、西欧では5%だった。

ヘルスケア産業でのサプライチェーンの安定を最も大きく損なっている要因は、規制がさらに厳しさを増していること、そして製品の保護がより困難になってきていること、としている

サプライチェーンでの最大の課題を尋ねた質問では、世界中の回答者のうち、60%が規制へのコンプライアンスと回答し、3年連続でトップとなっている。また、アジアの回答者のうち40%はビジネスとサプライチェーンに変化を引き起こしている最大の要因として、規制へのコンプライアンスと規制の強化を挙げている。

世界全体では製品の保護(製品の完全性と製品のセキュリティ確保)が最大の懸念事項になっている。

ヘルスケア企業は輸送保険への投資のほか、シリアル化や輸送状況の可視化のためのIT強化といった方策を導入することで、この課題への対応により多く(世界全体で55%)が成功していることが調査の結果明らかとなった。

アジアではサプライチェーン関連の最大の課題として、回答者の62%が輸送中の製品の損傷を挙げており、また56%は製品のセキュリティが大きな課題のひとつであると回答している。

製品のセキュリティに関する課題としては、偽造品がより精巧になってきていること、サプライチェーンの可視性が低いこと、そして並行貿易の存在が挙げられている。

経済的要因も引き続き影響を及ぼしており、アジアの回答者の半数近く(46%)は、6年前の経済低迷の影響を今なお感じ続けている。しかしこれは米国での割合を大きく下回っており、米国ではヘルスケア企業の経営層の60%が依然として経済低迷の影響を感じている。

現在のグローバルな経済環境ではコスト管理が引き続き重要な懸案となっており、44%がサプライチェーンに関する最大の課題のひとつであると回答している。

UPSアジア太平洋地域ヘルスケア戦略担当ディレクターのリム・ビー・クーンは「コスト圧力、規制強化、テクノロジー面でのイノベーションといったトレンドが、従来にない速さの変化をこの産業にもたらしている。このような急激な変化に伴い、ヘルスケア分野の規制機関も、監視の強化、基準の引き上げ、過去には存在しなかった分野への新たなルール導入などを進めている。これらの課題に対応するために、サプライチェーンの変革を上手く行ったヘルスケア企業は、重要な成長機会を獲得する能力が大きく高まる」と述べている。

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