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日通総研/TPP大筋合意で輸出入貨物量増加

2015年12月22日/調査・統計

日通総研は12月22日、「2015・2016年度の経済と貨物輸送の見通し」で、TPP大筋合意で、輸出入貨物量の増加につながる見込みと分析している。

TPPの大筋合意では、モノの貿易における輸入関税の撤廃がポイントとなっており、今後正式に発効すると関税撤廃を通じて、日本と参加各国との輸出入貨物量が増加する可能性がある。

輸出貨物についてみると、日本を除く11か国全体で工業製品の99.9%の品目の関税が撤廃され(即時撤廃率76.6%)、自動車、化学、家電製品など幅広い品目で輸出増が見込まれる。

自動車部品(現行税率2.5%)は、米国向けで8割以上の品目が即時撤廃となり、日本がFTAを結んでいなかった米国向けの輸出増が期待される。

一部の品目は、一定期間内に段階的に関税を引き下げ、最終的にゼロにする。

例えば、乗用車、バス、トラック等の完成自動車については、米国、カナダ、ベトナムが、主要自動車部品については、米国が長期的かつ段階的な撤廃スケジュールを定めている。

日本発米国向けの完成自動車(現行関税2.5%)についても、2015年から段階的に引き下げ、完全撤廃は25年後というスケジュールとなった。

農水産品は、日本を除く11か国全体で98.5%の品目の関税が撤廃される(即時撤廃率84.5%)。

コメ、牛肉、果物等一部の品目は、米国、カナダ、メキシコ等で段階的な撤廃とされており、これらの品目・仕向地については、発効してもすぐに日本からの輸出増につながるわけではない。

輸入貨物は、日本は輸入工業品の大半ですでに関税を撤廃しているが、関税が残っていた一部の品目についても完全に撤廃、工業製品はすべての品目で関税がゼロとなる(即時撤廃率95.3%)。

プラスチック原料等の化学製品(1.6%~6.5%)や、生地や衣類などの繊維製品(最大14.2%)では、発効後すぐに撤廃される。

農水産品では、最終的に81.0%の品目で関税が撤廃される(即時撤廃率51.3%)。コメ、麦、牛肉・豚肉、砂糖、乳製品等の主要5品目、オレンジやサクランボ、牛タン、氷菓、サバなど幅広い品目で輸入枠が設けられ、段階的な撤廃とされたが、その他の即時撤廃される品目では、発効後に輸入量が急増する可能性もある。

大筋合意には至ったものの、発効するまでにはまだ時間がかかり、当面、輸出入貨物量への影響はないものとみられる。

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