CBREは10月31日、「ロジスティクスマーケットビュー 2016年第3四半期」を発表した。
大型物流施設に対する需要は堅調に拡大している。配送効率化のための集約移転のほか、eコマース対応のための配送インフラの拡充などが引き続き需要を牽引。
2016年の首都圏での新規需要はQ3までで27万坪と、過去最高値を記録した2015年の年間実績(22万坪)を早くも上回った。
一方、新規物件はこれを上回るペースで供給されている。首都圏での2016年の新規供給は通年で36万坪と、これも過去最高となる見込み。しかもその多くは、これまで物流施設の集積がなかった内陸部に集中している。
竣工後もリーシングにやや時間がかかるケースが増えつつある。
長期化する空室在庫は、新たに竣工する内陸物件と相まって、直近の首都圏全体の空室率を押し上げる要因となっている。
今期(Q3)の首都圏大型マルチテナント型物流施設(LMT)マーケットでは4棟、計9万3000坪の新規供給があった。
前期まで3四半期続いた12万坪以上の大量供給は一段落したが、空室率は9.1%と前期から0.2ポイント上昇した。
首都圏の新規需要は今期8万坪と引き続き底堅いものの、2棟はリーシングが進まず空室を大きく残しての竣工となった。
空室が長期化する物件が増加していることも、空室率上昇の要因である。
新築4棟のうち1棟は満床、もう1棟は1フロアのみを残して竣工しており、物件によっては需要を十分に吸引できている。これは立地の優劣に因るところが大きい。
主なテナントの動きとしては、アパレル企業が配送効率化の一環として、大規模な物流センターに集約した。そのほか、店舗を持つ小売業全般にeコマース対応を強め、配送ネットワーク・配送インフラの拡充を行う事例がみられた。
首都圏4エリアの空室率を比較すると、東京ベイエリアは8.4%と前期から横ばい、外環道エリアは5.7%に低下。
国道16号エリアでも7.1%と2期連続して低下し、4エリアの中で供給が最も多いにも関わらず、エリアとしての底堅さを示した。圏央道エリアは23.4%と前期からさらに上昇した。
2015年の新規供給の四半期平均は7万4000坪に対して、来期の新規供給は約9800坪にとどまる。これは4年ぶりの小規模で、2017年Q1も3万6000坪と平均を下回る。
大型物流施設に対する需要は引き続き堅調であるため、空室率は来期以降低下する見通しだ。
ただし、デベロッパーの開発意欲は依然として旺盛である。内陸エリアの千葉県流山市では「GLP流山 I、II、III」(延床面積合計約10万坪)の開発が発表されており、2018年に竣工予定。そのうち「GLP流山 I」は9月に着工した。
大和ハウスも2018年竣工予定の「DPL流山 I」の着工を発表している。これらを含めて2018年の新規供給は現時点では約40万坪超と、過去最高を更新するとみられ、需給バランスへの影響が懸念される、としている。
地域ごとでは、首都圏の4エリアでは、「外環道エリア」「国道16号エリア」は空室率が前期比それぞれ5.7%、7.1%に低下。一方「圏央道エリア」は23.4%まで上昇し、エリア間の格差が広がっている。「東京ベイエリア」は引き続き横ばいだ。
近畿圏LMTの空室率は6.9%に上昇も、新規需要は4万6000坪の高水準。内陸の新築物件が大型需要を吸引。
中部圏・福岡圏では、未竣工物件のリーシングが進む。札幌でも大型マルチテナント型施設が着工した。