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ファーストリテイリング/有明倉庫を自動化、省人化率90%実現

2018年10月09日/SCM・経営

ファーストリテイリングは10月9日、ダイフクと戦略的グローバルパートナーシップを締結し、倉庫の自動化を進めると発表した。

<有明倉庫の庫内>
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2015年に発生したユニクロ物流の大混乱を受け、物流改革を行うもので、東京・有明のEC専用センターの有明倉庫で、2016年12月からダイフクと超省人化アパレル倉庫の実現に向けたプロジェクトを開始していた。

倉庫の自動化は、全商品にRFIDタグを貼付したこととダイフクのマテハン機器を組み合わせて実施し、倉庫を自動化したことで、約100人だった倉庫の人員を10人まで削減し、省人化率90%を実現した。

ファーストリテイリングによると、「入庫生産性80倍、出庫生産性19倍、保管効率3倍、ピッキング作業者の歩行数0歩、教育コスト80%カット、RFID自動検品精度100%を実現した」という。

24時間AIカメラによる遠隔監視を行い、24時間稼働も実現している。

<柳井会長兼社長(中央左)とダイフクの下代社長(中央右)>
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柳井正会長兼社長は、「ファーストリテイリングの成長のためには物流がしっかりしないといけない。さまざまな企業とのパートナーシップを検討したが、世界一信頼できて一緒に最後までやっていけるのはダイフクしかない。ここにいる全員が反対すると思うが、2、3年で世界中に自動倉庫を作っていく」と語った。

ダイフクの下代博社長は、「有明倉庫の自動化は、我々の経験では3年はかかるプロジェクトであったが、1年半という非常に短期間で立ち上げることができた。徹底した自動化により、従来の倉庫よりも90%の人員削減を達成した。これは、ファーストリテイリングとダイフクで真剣に議論し課題を解決した結果だ」と述べた。

ファーストリテイリングでは、日本国内のみならず全世界の物流拠点で自動化を進める計画で、1拠点あたり10億円から100億円を投資し、総額で1000億円の物流投資を計画している。

自動倉庫の立ち上げにあたっては、ファーストリテイリングとダイフクで専門のプロジェクトチームを立ち上げ、あたかも1つの会社のように、ワンチームで課題解決に取り組んだという。

<自動倉庫の機器>
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今回は、3フロアの全てにマテハン機器を導入した。1階の商品搬入口に自動入庫荷下ろし機を導入し、1階に運ばれた商品はRFID自動検品機で検品をした後、3階の自動保管倉庫に運ばれる。

<RFID自動検品機>
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自動保管倉庫の商品ラックは100本を超えている。

<自動保管倉庫>
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自動保管倉庫は、商品の出荷スピードよりも保管効率を優先し、商品回転率が高くないレギュラー商品の保管に活用している。従来は、人の手が届く範囲の高さのラックに人手商品を保管していたが、自動化したことにより、天井までのスペースが有効活用でき、保管効率を3倍に拡大した。

2階には、ヒートテック、エアリズム、ウルトラライトダウンなど売れ筋商品で商品回転率が高い商品を保管するための、出庫効率を優先した自動出庫倉庫を配置することで出庫効率を高めた。

ユニクロオンラインサイトの注文商品のピッキングもRFIDを使って自動化し、ピッキング作業者の作業台まで商品が運ばれる運営とすることで、ピッキング作業者の歩行数を0歩とした。

自動製函機、自動封函機を導入したことで、箱詰め作業を効率化したほか、出荷エリアの方面別仕分けソーターを導入したことで出荷効率も高めた。

<物流改革からの学び>
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有明プロジェクト全体統括を務めるファーストリテイリングの神保拓也執行役員(写真左端)は、「物流=コストではなく、物流=プロフィットセンターととらえ、サプライチェーン全体を改革した。物流改革を行うことで、お客様満足も向上し、売上・利益も向上する」と述べている。

同社では、現在、関西に有明倉庫の規模を超える物流センターの新設を計画しており、関西の新センターではユニクロのほか、ジーユー、セオリーなどグループブランド商品も一括で取り扱うことを検討している。

すでに世界の物流拠点での自動化にも着手しており、現在、中国、タイ、オーストラリア、米国西海岸、米国東海岸で、ダイフクと共同で自動化プロジェクトを推進している。

現在、ピッキング作業のみに人手がかかっているが、商品ピッキング作業の完全自動化に向けた、新たなマテハン機器の開発を進めており年内を目途に倉庫の完全自動化を実現する計画だ。

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