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日立製作所/Kyoto Roboticsを買収、物流ロボットの提供拡大

2021年04月08日/SCM・経営

日立製作所は4月8日、知能ロボットシステム開発のスタートアップ企業であるKyoto Roboticsを買収したと発表した。

Kyoto Roboticsの株主である政府系投資会社のINCJなどから発行済株式の96%を取得し、4月1日付で子会社化した。

<Kyoto Roboticsの知能ロボットシステム>
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Kyoto Roboticsは立命館大学発で2000年に創業したスタートアップで、アーム型ロボットの目にあたる「3次元ビジョンシステム」や脳にあたる「AI制御システム」といった技術を保有。

3次元ビジョンシステムの物体認識率は99.99%を達成、AI制御システムはさまざまな荷姿や積載状態に対応したロボット制御を可能にしており、物流現場ではパレタイジング(パレットへの積み付け)、デパレタイジング(パレットからの荷降ろし)作業を中心に国内で400台以上のロボット納入実績を持つ。

<Lumadaで提供するトータルシームレスソリューションと各社の役割>
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日立製作所は、インダストリーセクターで「Lumada」(日立のデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称)による課題解決のトータルシームレスソリューションのグローバル展開を基本方針に掲げており、そのなかで経営と現場をつなぎ全体最適化を実現するうえで核となるシステムインテグレーション(SI)を強化するため、2019年に米国のJRオートメーション社や日本のケーイーシー社を買収している。

今回、Kyoto Roboticsの買収によってミッシングリンクとなっていたロボット制御技術を補完し、プロダクトとOT(Operational Technology)、ITの全てを備えたトータルシームレスソリューションを提供可能にする。

<日立が目指す物流センターの全体自動化ソリューション>
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日立製作所はロボット市場で製造業分野に加え、今後大きな成長が期待できる物流分野への早期参入を目指している。物流分野では日立インダストリアルプロダクツ製の小型AGV「Racrew(ラックル)」を展開しているが、これにKyoto Roboticsの知能ロボットシステムを適用したロボットを加えることでロボットSIの提供領域を拡大。

さらに、これらを倉庫制御システム(WCS)や倉庫管理システム(WMS)と連係させることで、プロダクト、OT、IT を組み合わせた現場から経営まで一貫してつながる物流センター高度化ソリューションの提供を目指している。

<記者会見にて、左から3番目が日立製作所の森田執行役常務、2番目がKyoto Roboticsの徐社長>
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Kyoto Roboticsの買収について、日立製作所の森田 和信執行役常務(産業・流通ビジネスユニットCEO)は、「コロナ禍において、物流や製造業でDX化が求められている。これらの現場で自動化推進の鍵となるKyoto Roboticsの高度な技術・ノウハウを獲得することは、今後に向けた重要なマイルストーンだ。日本では大企業がスタートアップを買収する例が少なく、日立のインダストリーセクターでも初めての試みだが、Kyoto Roboticsはグローバルに通用する高い技術力を持つと確信している。今後は日立が持つプロダクトやOT、IT、Lumadaに、Kyoto RoboticsのロボットSIを組み合わせ、現場と経営をシームレスにつなぐトータルソリューションを提供していく」とコメント。

また、Kyoto Roboticsの徐 剛社長は「これまでもさまざまな企業から買収の話があったが、その中でも技術への評価が高く、大きなシナジー効果が見込めることなどから、日立による買収を受け入れた。今後は日立との連携によって、単独では難しかった多くの顧客へ技術を提供できるようになる」と述べた。

■Kyoto Roboticsの会社概要
本社所在地:滋賀県草津市野路1-15-5
事業内容:知能ピッキングロボットの開発・販売
設立:2000年
資本金:9980万円(2021年3月末時点)
従業員:約40人(2021年3月末時点)

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