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「物流子会社を極める」 ソリューション提供へ進化

2021年04月09日/物流最前線

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NTTグループの中で物流業務を一手に担うのがNTTロジスコだ。ケーブルや電柱、スマホ、電話帳といった情報通信に関わるインフラ物流企業として成長してきた。しかし、携帯電話需要の増加はあるものの、ほぼ一巡しつつある光ファイバーの敷設や電話需要の変化により、物量が減少しつつあることも事実。現在、同社は3PL企業として医療機器や化粧品、エンタメ商材などの外部での物流業務にも力を入れ、外販比率は6割にも上る。同社の東明彦社長は2017年6月に社長に就任して約4年、物流とは全く異業種からの転身だが、 「オペレーションの会社からソリューションを提供する物流企業へ」を目標に掲げている。NTTロジスコの現状と今後の展望を伺った。
取材:3月17日 於:NTTロジスコ本社

<東明彦社長>
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<本社のある平和島物流センター外観>
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医療機器で新型コロナの影響

――  新型コロナ感染による影響からお伺いします。

  通常とは全く変わりましたね。大きな変化は医療機器の物流面でありました。かなりインパクトは強かったですね。我々が扱っている医療機器は整形外科や循環器系の医療機器で、新型コロナの影響により、手術が見合わせとなりました。スポーツなども練習がままならず、けがをする人も相当減ったと聞いています。高齢者の方もあえてこの時期に病院に通うことは控えていたようです。

――  従業員の感染者については。

  おかげさまで数名だけで、クラスターもなく、物流を止めることなく、現在に至っています。徹底して検温や手洗い等当たり前のことをやったわけですが、幸運でしたね。

――  注射器の需要などが話題になっていますが。

  医療機器といっても注射器のような消耗品は扱ってなく、整形外科で使用する人工関節とその手術用具、循環器系のカテーテル、人工心弁といった高度管理医療機器が中心です。

――  高度管理医療機器は海外メーカーが多いのでしょうか。

  そうですね。我々の顧客の多くは外資系です。日本の医療機器はグローバルの視点では特殊な物流です。我々の倉庫からメーカー所有権のままディーラーに、さらに病院に配送され、患者さんに適合するサイズのものが手術に使われます。使われなかった医療機器は、ディーラー経由で我々の倉庫に戻ってきて検品され、使われたものがメーカーの売上に計上され、使われなかったものは棚入れするといった流れです。これがメーカーから見ると、他国の売り切り型の物流との比較でコスト高となるため、物流委託費の削減を常に求められています。

――  日本独自の特殊事情が存在するのですね。

  だからと言って、日本の特殊事情という理由で問題は解決しません。今のサプライチェーンの非効率は、日本の病院の実態や商慣習の中で形成されたものなので、簡単には見直せない面もあると思います。なかなか大変なことですが、もっと効率化できないかと思っています。

――  難しい課題です。

  そこで我々がやろうとしているのは、物流のオペレーションのみにとどまらず、サプライチェーンをより全体最適にするための取り組みを強化していきたいということです。現在の商習慣の中でいかにオペレーションを効率化できるかはマストですし、1丁目1番の取り組み事項です。これは、標準化、多能工化による生産性の向上、さらにAI化、ロボット化といった自動化技術を駆使して応えていく。そして、非効率の部分がなぜそうなっているのか、ほかに手段はないのかといった部分まで踏み込んだ形で提案し、仕組みを変えてコスト削減に貢献していく。それを我々の差異化要素としていきたいと考えています。単なるオペレーションではなくソリューションの提案ということです。メーカーとディーラー間の共同配送を行う当社のメディカルライナーは、その嚆矢となるソリューションで、エリア拡大や病院への直送など内容を充実していきます。

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