Mujinは5月19日、東京都江東区辰巳の同社ロボットセンターで、企業の物流担当者向けにロボット見学会を開催した。
<物流ロボットのデモンストレーション>
見学会は新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨年末から開催を中断していたが、感染・拡散防止策を実施したうえで、参加人数を少人数に制限して再開することとなった。
今回の見学会は、6月末までに計5回の開催を予定。初日となった5月19日はメーカーの物流担当者など約10名が参加し、Mujinの担当者から技術や導入事例の説明を受けた後、ロボットの実機によるデモンストレーションを見学した。
デモンストレーションでは、デパレタイズロボット、通い箱段バラシロボット、パレタイズロボット、ピースピッキングロボットの4機種が稼働する様子を見ることができた。
パレットから荷物を降ろすデパレタイズロボットは、世界最速となる1時間あたり1000ケースの処理が可能で、業界で唯一、混載された荷物に対応。荷物の重さや形状に応じてアームの移動速度を自動で調節し、コンベヤに荷物を降ろす際もギリギリの高さから荷物を開放することで、荷物へのダメージを最小化している。
工場等で部品の保管や搬送に用いる通い箱を搬送するロボットでは、新たに開発した可変ハンドを採用。通い箱の持ち手の位置に合わせて掴む場所を自動で調整することで、大小さまざまな大きさの箱に対応することができる。
パレタイズロボットは、パレットのほか、かご車やカートラックへの積み付けにも対応。独自のアルゴリズムによって、さまざまな搬送什器に対して最も積載効率の高い積み付けを計算する。また、WCS(倉庫制御システム)によるAGV(無人搬送車)との連携も可能となっている。
ピースピッキングロボットは、1時間あたり900回(世界最速)のピッキングが可能。ロボットの目にあたる3Dビジョンで認識したコンテナ内のスペースと事前に登録した商品の大きさとを照合し、さまざまな大きさや形状、材質の商品を無駄なく配置することができるほか、スキャナーと組み合わせることで検品を自動化することもできる。
なお、これらのロボットはアプリケーションのアップデートによって処理能力や動作精度が年々高まっており、デパレタイズロボットに関しては前年比25%の処理能力向上を実現している。デモンストレーションを見学した参加者からは、ロボットの処理速度や精度に驚く様子や、自社で想定している用途に対応できるかをMujinの担当者に質問している様子が伺えた。
Mujinの担当者によると、ロボットの導入は卸売業のほかホームセンターやドラッグストアなどの小売業に多く、2020年頃からは自動化を小規模でスタートした企業が稼働実績を評価し、大規模化に打って出るケースが増えたという。
また、コロナ禍以降はロボットに対する問い合わせも増えたが、すでに導入済みの企業から「早くから自動化に取り組んだことで、物流の変化に対応することができた」という声が多く聞かれるようになったという。
今後もMujinでは、ロボット見学会を定期的に開催していく予定。