鴻池運輸は3月1日、三菱重工および三菱ロジスネクストと共同で、無人フォークリフトAutomated Guided Forklift（AGF）によるトラックへの荷積み・トラックからの荷降ろしの自動化実現に向けた実証実験を、鴻池運輸の主に飲料製品を扱う配送センターで開始すると発表した。
＜トラックの荷積み・荷降ろし自動化イメージ＞
＜トラックの荷積み・荷降ろし自動化ロードマップ＞
2022年3月から、まずはトラックの荷役位置検知試験やトラックへの誘導機能試験を実施し、その後トラックへの荷積みの実験を開始、以降段階的に2024年3月までに自動化実運用に向けた能力・安全機能の検証を行う予定だ。
工場や倉庫での物流は自動化が進む一方、トラックへの荷積み・トラックからの荷降ろしは、有人フォークリフトによる作業が中心である中、労働時間の適正化や慢性的労働力不足が課題となっている。また、繁忙時は、作業に伴うトラックの滞留時間が発生し、定時の搬出・搬入を妨げる要因の一つとなっている。そのため、今回の実証実験は、AGFを活用してこれらの作業を自動化することで、作業者の負荷軽減とトラックの滞留時間削減を目指す取り組みとなる。
具体的にはAGFが直接、倉庫の搬送コンベヤーからパレット積みされた荷物を取り出し、トラックの荷台への積み込みまでを自律的に行う。トラックへのパレット積み込みは、荷積みのスピードやトラックの停止位置、トラック内のパレットの設置位置などに高い精度を求められることから、これまで有人フォークリフトでの運用が一般的だった。実証実験では、三菱重工および三菱ロジスネクストの自律化・知能化・自動化技術と、鴻池運輸が長年にわたり多種多様な現場で培ってきた豊富な知見やノウハウを生かして、早期の実用化を目指す。
鴻池運輸の桑原 勝利食品プロダクツ本部本部長は「今回の実証実験を実施する配送センターは、約6万棚を有する自動倉庫で、トラックへの荷積み・トラックからの荷降ろし以外は、ほぼ自動化できており、近年の物流を取り巻く環境変化への対応として自動化は重要な課題。今後は、実証実験の成果を評価しつつ、まずは、同センターで複数バースでの自動化拡大、その後は、他の自動倉庫への展開、加えて自動倉庫以外での活用も視野に入れて取り組んでいく」とコメント。
また、鴻池運輸の鶴原 誠技術革新推進本部本部長は「当社は、作業者のスキルに新しい技術を融合させることでより付加価値の高いサービスを提供することを指向している。現場にある優れた経験と知恵をうまく生かしてAI・データ連携・自動化等のDX推進を図っている。その一例が今回の取り組みであり、将来の姿を見据えた意義ある実証実験だ」と述べている。
