帝国データバンクは6月3日、2022年5月調査の「TDB景気動向調査(全国)」を発表した。
<全国の景気DI>
それによると、「運輸・倉庫」業界の景気DIは0.6ポイント増。2か月連続で改善。「貨物輸送トラックがここ数週間で増加してきている」(普通倉庫)など、普通倉庫が大きく改善。
また、「春の学校の旅行シーズンになり、毎日バスが動いている。この傾向は3年ぶりで、やっと戻った感覚である」(一般貸切旅客自動車運送)といった声も聞かれ、バス・タクシーなどの旅客運送、旅行代理店は依然として厳しい水準も上向いた。
他方、「輸入物価の上昇で大幅にコストが上昇も、運賃料金の値上げは不十分で採算割れは解消できない」(一般貨物自動車運送)など、燃料価格の高止まりなどによる輸送コストの上昇はマイナス要因となった。
「運輸・倉庫」企業の声では、現在「貨物輸送トラックがここ数週間で増加してきている(普通倉庫)」、「原材料費、燃料費の高騰により、値上げの依頼に対し、顧客にも理解を頂いており、収益の改善に繋がっている(港湾運送)」とした改善の声もあるが、「円安、原油をはじめとする輸入物価の上昇で大幅にコストが上昇も、運賃料金の値上げは不十分で採算割れは解消できない(一般貨物自動車運送)」の声もあった。
先行きについては、「ウィズコロナで経済活動の全再開を見込み、さらに設備投資と物量の増加を期待。原油・資材高は続くも円安はピークアウトを想定(一般貨物自動車運送)」の期待の声と共に、「運賃は落ち着いてきたものの配船スケジュールの乱れが継続。燃料価格の高騰で仕入価格は横ばいか増加。その状況が続く見込みで、夏頃から国内業者も値上げする方向で、全体的にコストが上がることになる(運輸に付帯するサービス)」との不安の声も挙がっている。
なお、2022年5月の景気DIは前月比0.4 ポイント増の41.2 となり、3か月連続で改善した。国内景気は、海外情勢の影響を受けた工場の稼働停止などもみられたが、個人消費関連の持ち直しが続き、3か月連続で上向いた。今後は、下振れリスクを多く抱えながらも、緩やかな上向き傾向で推移すると見込まれている。
景気動向調査/国内景気2か月連続改善、運輸・倉庫も2か月ぶり改善