帝国データバンクは6月9日、2022年5月報の企業倒産件数(負債1000万円以上の法的整理が対象)について集積、分析を行った。
<業種別 7業種中5業種で前年同月比増加>
それによると、業種別では、7業種中5業種で前年同月を上回り、運輸・通信業は22件から31件となり、前年同月比40.9%増でトップとなった。トラック輸送など道路貨物運送(同13件→19件)の増加が目立った。このほか、卸売業が37.0%増、製造業が36.4%増と続く。
また、全体での倒産件数は517件と、前年同月を12.1%上回った。前年同月比増加は2021年5月以来1年ぶり。従来からのコロナ関連の支援策などによって、倒産は抑制されてきたものの、2021年7月(42.1%減)をピークに減少率の縮小が続き、今月で増加に転じた。
負債総額は785億4000万円。前年同月で負債1000億円を超える大型倒産が発生した影響もあり、52.8%の大幅減となった。
<企業倒産件数・負債総額推移>
今後の見通しとして、帝国データバンクは「コロナ融資をはじめとした各種資金繰り支援策による倒産抑止効果に陰りが見え始めている」と分析。一方、急激な円安に原材料価格の高騰など懸念事項が山積し、「中小企業の経営環境にはかつてない程の閉塞感が漂う。企業倒産は今夏の国政選挙を前に控えながらも、これまでの減少トレンドから一転、増勢傾向が強まりつつある」としている。