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JLL/建築費高騰の物流不動産市場、1年間で5万円/坪上昇

2022年06月09日/調査・統計

ジョーンズラングラサール(JLL)は6月9日、最新Trends & Insightsで「建築費高騰による物流不動産市場の今後の行方」のレポートを発表している。

<建築費指数(倉庫)推移>
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物流施設の建築費が急激に上昇しており、物流施設開発事業者や投資家の収支・事業想定等に影響を与え始めている。このレポートは今後の方向性について予想したものだ。

それによると、建築費の上昇は物流施設に限った話ではなく、オフィスビルから、ウッドショックに見舞われている木造住宅まで幅広い傾向である。一般的に、物流施設はオフィスビルや住宅などの他のアセットタイプと比べて相対的に地価の低い場所に立地しており、土地と建物を合わせた投資額に対する建物の割合が大きい。したがって、建築費の上昇が投資額の上振れに強く作用し、土地価格に与えるインパクトは大きくなる。

各デベロッパーや投資家へのヒアリングによると、彼らが2021年の前半頃に想定した物流施設の建築費は40万~45万円/坪といったところであった。それが現時点では45万~50万円/坪と、この1年間で概ね5万円/坪、割合にして1割程度上昇している。

このことは建設物価調査会が公表している倉庫の建築費指数からも確認できる。2021年4月の工事原価は121.5であったが、1年後の2022年4月には同133.5(暫定値)と、9.9%の上昇となっている。

一般的に、物流施設が立地する用途地域である準工業地域、工業地域及び工業専用地域における基準容積率は200%が多く、この基準容積率を消化するような物流施設の建築を想定した場合、5万円/坪の建築費の上昇は、総投資額を変えないのであれば土地に対する負担余力を単純計算で10万円/坪縮小させる。

もちろん、物流施設賃料の上昇や売却時の利回り低下により、建築費の上昇を吸収できる可能性もあるが、土地価格が数十万円/坪程度と相対的に低いエリアでは、この建築費の上昇が地価水準に与える影響は大きい。

現に、首都圏外縁部の物流施設素地案件などにおいては、この建築費の上昇により売主から「希望する土地価格を提示することができない」といった反応が聞かれるようになっている。また、すでに土地を取得している場合においては「採算が合わなくなっている」として着工を遅らせるという状況も一部で耳にするようになった。

<建築費上昇の主要細目>
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同じく建設物価調査会が、倉庫と類似の用途である工場について、建築費上昇における各要因の寄与度を公表している。これによると、2022年4月と前年同月との比較において、純工事費の指数は7.95上昇しているが、そのうち、「鋼材」の上昇の寄与度が4.42と、上昇要因の半分以上を占めている。

倉庫も工場も基本的にスケルトンに近い形で建築されることが多く、建築費の多くを躯体が占めていることから、倉庫においても同様の傾向であることが推測される。

その鋼材の上昇の原因は、鉄スクラップなどの原材料及び電炉等のエネルギーコストの上昇であり、コロナ禍に向けた世界的な需要回復や地政学的な現状によるエネルギー調達問題など、これらの原因が短期的に落ち着く状況にはないという見方が大勢であろう。したがって、建築費も更なる上昇か高止まりすることが十分想定し得る。

これらの建築費の上昇が、賃料の上昇や売却時の利回り低下により吸収されていくのか、または土地価格への影響を与えていくのか、注視したい、としている。

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