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後継者動向/不在率減少へ運輸業53.2%、候補者「非同族」が首位

2022年11月17日/調査・統計

日本の企業経営者の平均年齢は60歳を超え、多くが事業承継の適齢期を迎えている。帝国データバンクは11月17日、自社データベースをもとに、2020年10月―22年10月の3年を対象として、事業承継の実態について分析可能な約27万社(全国・全業種)における後継者の決定状況と事業承継動向について発表した。同様の調査は2021年11月以来9回目。

それによると、日本企業の「後継者問題」が急速に改善へと向かっているようだ。2022年の全国・全業種約27万社における後継者動向について調査した結果、後継者が「いない」、または「未定」とした企業が15.4万社に上った。この結果、全国の後継者不在率は57.2%となり、コロナ前の2019年からは8.0pt、2021年の不在率 61.5%からも4.3pt低下し、5年連続で不在率が低下した。また、調査を開始した2011年以降、後継者不在率は初めて60%を下回った。

<後継者不在率推移>
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コロナ禍という未曽有の危機のなかで、コロナ関連融資の借り入れも含め、自社事業の将来性に改めて向き合った中小企業は多いとされる。こうしたなか、地域金融機関をはじめ事業承継の相談窓口が全国に普及したほか、第三者へのM&Aや事業譲渡、ファンドを経由した経営再建併用の事業承継など、プル・プッシュ型を問わず事業承継メニューが全国的に整ったことも、後継者問題解決・改善の前進に大きく寄与した。

一方、昨年まで後継者がいたにも関わらず、2022年に後継者不在となった「計画中止・取りやめ」が全体の0.6%(約1600社)発生、前年から拡大した。コロナ禍で経営環境が変化したなかで、「業績改善が見込めず事業承継を中断した」といったケースも聞かれ、コロナ禍の事業承継は二極化の様相を呈しているという。

<業種別>
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業種別では、全業種で前年を下回り、かつ不在率70%を下回った。全業種で不在率が70%を下回るのは2021年に続き2年連続となり、全業種で過去最低を更新。このうち運輸・通信業は2021年から4.3pt減の57.2%、業種詳細別でみると運輸業は53.2%だった。

<就任経緯別 推移>
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また、2022年の事業継承動向では、同族承継が急落 M&A(買収)などによる事業承継が初めて2割を突破。一方で、同じ親族外の承継でも社外の第三者を代表として迎える「外部招聘」は7.5%にとどまった。事業承継は脱ファミリーの動きが鮮明となっているものの、第三者承継は自社社員かM&Aなど他社との吸収・合併によるものに二極化している。

<就任経緯別 後継者候補属性>
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後継候補が判明した全国約10万社の後継者属性をみると、最も多いのは「非同族」の36.1%で、前年を2.9pt上回った。2011年の調査以降、後継者候補は「子供」の割合が最も高い状態が続いてきたものの、初めて「非同族」が首位となった。同族承継でも、「子供」の割合が大きく低下、代わって「非同族」の割合が高まっており、ファミリー企業でも「非同族」への事業承継=脱ファミリー化へ舵を切る動きが強まっている。

帝国データバンクは、「今後も、国や自治体による事業承継への働きかけが継続されれば、企業の後継者問題に対する意識が一層高まる形で、不在率は引き続き低下していくものとみられる」と分析している。

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