帝国データバンクは1月23日、特別企画「価格転嫁に関する実態調査(2022年12月)」を発表した。
同調査は、価格転嫁に関する企業の見解を調査したもので、TDB景気動向調査2022年12月調査とともに行ったもの。
それによると、価格転嫁をしたいと考えている企業の販売価格への転嫁割合を示す「価格転嫁率」は39.9%だった。これは、コストが100円上昇した場合に39.9円しか販売価格に反映できていないことを示している。
運輸・倉庫業の価格転嫁率は20.0で、医療・福祉・保健衛生(10.5)、娯楽サービス(12.7)に次いで低かった。企業からは「物流業界は競合他社との兼ね合いが強いため、自社だけで交渉することは難しい。価格交渉によって、受注の減少も懸念される」(一般貨物自動車運送、福島県)など厳しい声が多数あがっている。
コスト上昇に対する価格転嫁以外の対応策について尋ねた質問(複数回答可)には、58.6%の企業が「自社経費の削減」を実行していた。
そのほかには、ムダやムラの削減など「ロスの削減」(42.4%)、設備機器等の入れ替えなどを含む「生産の効率化」(23.4%)、「内部留保による対応」(17.3%)など、多くの企業で自助努力によって対応している様子がうかがえた。
価格転嫁ができない、難しい理由について尋ねたところ、「取引企業から理解が得られ難い」が39.5%で最も高くなった。
以下、「自社の交渉力」(25.0%)、「消費者から理解が得られ難い」(20.1%)、「(年度など)契約の制限がある」(13.1%)と続く。なかには「交渉自体行えない」(7.5%)や「正常な商習慣に照らして不当な要請がある」(6.4%)といった、取引企業との交渉そのものができていない企業も一部でみられた。