三井不動産と日鉄興和不動産は1月26日、東京都板橋区の「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」を着工、同計画地においてメディア向けの説明会を開催した。計画では、敷地面積9.3万m2、延床面積25.6万m2と都内最大規模の物流施設となる。着工は2023年2月、竣工は2024年9月の予定。
＜「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」完成イメージ＞
＜位置図＞
＜現地で説明会を開催 左から、三井不動産 三木専務執行役員、坂本 板橋区長、ヤマト運輸 阿部常務執行役員、日鉄興和不動産 吉澤副社長＞
同開発地は、都営三田線「西台」駅から徒歩約10分。都心部へのアクセスが良い、希少性の高い立地だ。周辺5km圏内には約106万人が居住しており、物流施設の雇用確保においても有利。加えて、最寄りの首都高速5号池袋線「中台」出入口までは約 2.7kmと都心部への配送にも非常に適している。
＜開発予定地＞
敷地は日本製鉄の工場跡地で、2021年6月に日本興和不動産が取得、板橋区の地域の防災力向上に資する「街づくり型」物流施設として、三井不動産と共同開発を行う。また、両社と同施設に入居予定のヤマト運輸は、板橋区と「災害時等における防災施設整備等に関する4者基本合意書」を締結。地域の防災力向上等に貢献する街づくりを実現する。
＜坂本 板橋区長＞
説明会では、坂本健 板橋区長が「この地は、荒川が氾濫した際に災害が見込まれている地区。荷捌をする拠点の整備も求められている。土地の利用転換を早期に把握した板橋区が、高台まちづくりへの協力や地域課題解決に向けた要望を事業者側に実施し、官民連携の街づくりが実現した」と経緯を説明。
＜ヤマト運輸 阿部常務執行役員＞
同施設には、既にヤマト運輸が入居を決定している。ヤマト運輸常務執行役員の阿部珠樹 東京地域統括兼EC事業 統括 兼 輸配送ネットワークマネジメント部長は、「コロナを機にEC全体の増加とともに食品を運ぶことが増えている。特に首都圏において、クール専用のラストワンマイルの配送ネットワークを構築したい」と、入居の目的を述べた。
ヤマトグループでは、地域の顧客への総合的な価値提供として、災害に関する地方自治体との連携を進めている。同日、板橋区と締結した「災害時等における防災施設整備等に関する4者基本合意書」により、今後災害時の支援物資の保管・配送拠点として同施設を活用し、地域防災を通じた街づくりに貢献する。
＜日鉄興和不動産 吉澤副社長＞
開発にあたり、日鉄興和不動産の吉澤恵一副社長は、「板橋区の地域防災というニーズを踏まえ、官民連携で力を結集し、住民の憩いの場となるような、素晴らしい施設をつくっていきたい」と抱負を述べ、続いて三井不動産 取締役専務執行役員の三木孝行ロジスティクス本部長が、同施設の概要や特徴を説明した。
＜三井不動産 三木専務執行役員＞
三木専務執行役員は同施設について、「一言でいうなら『唯一無二、都内最大級の街づくり型物流施設』ということだろう。屋内にダブルランプ型・センターバースを備え、1フロアの面積は3万6363.58m2（約1万1000坪）と日本最大レベル（最大8分割可能）。これからの未来に向かうようなスペック」と、プラン概要を語った。
倉庫スペックでは、市場拡大が見込まれる食品類Eコマースや、チルド配送のニーズ拡大に対応するため、1階に大規模なコールドチェーンを支える大規模冷凍冷蔵倉庫にも使用可能な床荷重 2t／m2を採用。
＜冷凍冷蔵倉庫イメージ＞
また、広大な敷地を生かして、将来的なドローン配送を見据えた賃貸用R＆D区画を整備。ドローンによるラストワンマイル配送や災害時の支援物資搬送等、実証実験の場を提供することで、板橋区の産業発展にも寄与する。
さらに、年間の一次エネルギー消費を実質的にゼロとする最高ランクの「ZEB認証」および、DBJ Green Building 認証最高位となる「5スター」の取得を予定しており、屋上に設置する太陽光発電設備による再生可能エネルギーの供給や、屋内照明のLED化による省エネ等、環境に配慮したさまざまな取り組みを行う。
＜メインエントランスイメージ＞
＜公開空地イメージ＞
同施設では1000人超の雇用を予定しており、働きやすい環境も整備した。三木専務執行役員は、「施設デザインのコンセプトは『White Waves』。曲線を採用し地域と調和する洗練されたデザインで、地域の名所になるだろう。隣地の舟渡水辺公園と一体として公開空地を設け、緑地を整備し、地域イベントを開催したい」と、展望を語った。
■施設概要
名称：MFLP・LOGIFRONT 東京板橋
所在地：東京都板橋区舟渡4-3-1
敷地面積：約9万3200m2
延床面積：約25万6100m2
規模・構造：地上6階建・S造（倉庫）・免震構造
設計者：日鉄エンジニアリング
施工者：日鉄エンジニアリング・佐藤工業共同企業体
監修者：フクダ・アンド・パートナーズ
着工：2023年2月1日（予定）
竣工：2024年9月末（予定）
