帝国データバンクは3月23日、TRAILが東京地裁へ3月23日に自己破産を申請したと発表した。
TRAILは2014年7月に設立。一般貨物運送事業を主体として、倉庫内物流業務の請負も手がけていた。以前は協力会社に外注する形で事業展開を図っていたが、2020年3月期中に一般貨物自動車運送事業の許可を受けて自社配送の割合を高め、業歴は浅いながらも同業界で経験を積んだ代表の人脈を生かし受注を確保。2020 年3月期は年収入高約26億400万円を計上していたが、楽天モバイルの携帯電話基地局設備に関わる配送の受注増加を背景として業績は急伸、 2021年3月期は年収入高約92億100万円を、2022年3月期には年収入高約192億6100万円を計上していた。
こうしたなか、2022年8月に入って同社の主要取引先である日本ロジステックや同社が楽天モバイルに対して不正な水増し請求をしていたことが発覚し、日本ロジステックは仮差し押えを受ける事態となり、8月30日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請。この不正請求に絡み、同社の動向も注目されることとなったほか、同社に対して多額の不良債権が発生したことで、ほぼすべての事業を停止し従業員も解雇されるなか、1月13日付で事後処理を弁護士に一任していた。
その後、3月3日には楽天モバイルの携帯電話基地局整備事業を巡って、水増しした業務委託料を楽天モバイルに支払わせ詐取したとして、警視庁は楽天モバイルの元部長および日本ロジステックの元常務、TRAIL代表者の3名を詐欺の疑いで逮捕。なお、楽天モバイルから同社元部長らが受けた不正な支払いは約300億円に上るとみられている。
負債は2022年3月期時点で約54億9900万円だが、その後変動している可能性がある。