内閣府は6月2日、「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議(第2回)」を開催、物流革新に向けた政策パッケージ(案)を取りまとめた。同会議は、物流課題に対し関係行政機関が連携し2023年3月に設置。岸田総理から「1年以内に具体的成果が得られるよう、緊急に取り組むべき抜本的・総合的な対策を取りまとめるように」との指示を受け、開催されたもの。
同案では、荷主企業・物流事業者(運送・倉庫等)、一般消費者が協力して我が国の物流を支えるための環境整備に向け、「商慣行の見直し」「物流の効率化」「荷主・消費者の行動変容」について、「政策パッケージ」として策定した。なお、案では1年以内に具体的な成果が得られるよう、特に今年中に構ずべき施策についても示しており、2024年通常国会への法案提出を視野に、段階的に推進していく。
「商慣行の見直し」では、荷待ち、荷役時間等の物流負荷の軽減や、納品期限や物流コスト込み取引価格等の見直し、多重下請構造の是正に向けた規制的措置等に取り組む。また、規制的措置導入を前提にガイドラインを示し、大手の荷主企業・物流事業者に対し「自主行動計画」を作成し、前倒しで実施することを図る。このほか担い手の賃金水準向上等に向けた運賃収受・価格転嫁の円滑化や、トラック法に基づく荷主企業等への要請の強化、情報公開等等の措置の具体的内容について今年中に成案を得る。さらに、トラック法に基づく「標準的な運賃」についても今年中に見直しを図り、新たに「トラックGメン」(仮称)を設置し、監視力を強化することで実効性を確保する。
「物流の効率化」では、物流GX・DX・標準化により、新技術も活用しつつ、ハード・ソフト両面で物流効率化に取り組む。具体的には、即効性のある設備投資の推進(バース予約システム、フォークリフト導入、自動化・機械化等)や、モーダルシフトの強力な推進、パレットやコンテナ等の標準化など。また、高速道路のトラックの速度規制(80km/h)についても、車両の安全に係る新技術の普及状況などを確認したうえで、「引き上げる方向で調整する」とした。さらに物流施設の機能強化、ダブル連結トラックの導入、地域物流等における共同輸配送の促進など全13項目が示された。
「荷主・消費者の行動変容」では、荷主の経営者層の意識改革・行動変容を促す規制的措置を導入する。具体的には、荷主企業の役員クラスに物流管理の責任者を配置することを義務づけることなど全社的な物流改善への取組みを促進。また、こうした企業努力が評価される仕組みや、2024年以降不足する輸送力を補うため再配達率「半減」へ、緊急的な対策を講じるとしている。
政府は今後、速やかに2024年における規制的措置の具体化を前提として荷主企業・物流事業者が取り組むべき事項をガイドラインとして策定する。そのうえで、これを広く周知するとともに、荷主・物流事業者等に対し、業種・分野別の「自主行動計画」を年内目途に作成・公表することを要請する。さらに、2023年末までにトラック輸送に係る契約内容の見直しに向けた「標準運送約款」「標準的な運賃」の見直しや、再配達半減に向けた対策等、2024年通常国会での法制化を視野に段階的に推進していく。