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物価高倒産/半年で過去最多、人件費高騰、累計375件、運輸58件

2023年07月10日/調査・統計

帝国データバンク(TDB)は7月10日、2023年6月までに発生した「物価高倒産」について調査・分析を行った。

<「物価高倒産」件数推移>
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それによると、仕入れ価格の上昇や価格転嫁できないことに起因した「物価高倒産」は、2023年上半期(1-6月)で累計375件となった。上半期における倒産件数(4006件)のうち約1割が物価高倒産だった。前年同期(85件)から4倍超の水準に達したほか、2022年通年の320件を6月時点で上回り、年間で過去最多を更新した。

月別の発生状況をみると2023年は、4月に単月で過去最多となる75件の発生をピークに、5月(67件)、6月(63件)と緩やかな減少に転じた。ただ、月間平均(23年1-6月)では60件が発生しており、前年(22年1-12月)の27件を大きく上回るペースで推移した。この勢いが続いた場合、23年における物価高倒産の累計は前年を大きく上回る700件台に到達する可能性がある。

<業種別割合>
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2023年上半期の物価高倒産を業種別にみると、最多は「建設業」の83件だった。木材などの建築資材に加え、人件費の上昇による影響が目立ち、総合工事や職別工事といった業種が多く発生した。「製造業」(79件)では、食材価格の高騰を背景に食品関連産業で増加した。「運輸・通信業」(58件)では燃料費などエネルギーコストの上昇が響いたほか、「小売業」では22年上半期で発生がなかった飲食店の倒産が目立った。

<要因別割合>
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要因別にみると、「原材料(価格の高騰)」によるものが34.1%で最多だった。食品やアパレル関連産業で多く目立ったものの、前年同期に比べて割合は大きく低下した。原油高など「エネルギーコスト」(29.9%)も運輸業を中心に目立ったものの、全体では前年同期から微減となった。

一方で、「包装・資材」(27.5%)や「人件費」(15.2%)など4要因では、前年同期の割合を上回った。なかでも人件費の割合は、前年同期の5.2%から約3倍に拡大した。最低賃金の上昇による人件費の増加を増収で補えなかった企業のほか、雇用確保のために賃金を引き上げたものの収益が伴わず破綻した、賃上げ難によるケースも一部でみられた。

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