帝国データバンク(TDB)は9月5日、8月の景気動向調査(全国)を発表した。
それによると、2023年8月の景気DIは前月比0.3ポイント減の44.9となり、2か月ぶりに悪化した。景気は、ガソリンを含むエネルギー価格の上昇や台風上陸による人流・物流の停滞などもあり、小幅なマイナスとなった。今後の国内景気は、好材料と悪材料が混在するなかで、おおむね横ばい傾向で推移するとみられる。
本格的な夏シーズンを迎え各地で盛り上がりをみせたが、台風の影響やエネルギー価格の高騰などにより 10業界中7業界で悪化した。地域別では、10地域中7地域が悪化、1地域が改善した。台風の上陸により交通網が寸断され、帰省や旅行などを含めヒト・モノの移動の混乱が下押し要因となった。また燃料価格の高騰も悪材料となったが、一方でインバウンド需要は好調だった。規模別では、「大企業」と「中小企業」が2か月ぶりに悪化、「小規模企業」は3か月ぶりに改善した。
価格転嫁率は全体で43.6%(2023年7月)。前回調査(2022年12月)と比較して上昇がみられるも、依然として4割程度の転嫁状況にとどまる。
業界別では10業界中7業界が悪化。台風の上陸など天候不順がマイナス材料となり、運輸・倉庫は前月比0.2ポイント減となった。また、業界別の景況感企業の現状として、「海外からの需要が増えている」(こん包)、「エネルギー価格の高騰、最低賃金の大幅増などコストが先行し上昇している状況で中小企業の価格への転嫁がなかなか進まない」(運輸に付帯するサービス)、「人件費や燃料などの値上がりに対する運賃への転嫁を認めてもらえない。労働時間短縮も迫られ、運転手などの募集もままならない」(一般貨物自動車運送)などの声があがっている。
景気動向調査/国内景気2か月連続改善、運輸・倉庫も2か月ぶり改善