帝国データバンク(TDB)は9月4日、2024年8月調査のTDB景気動向調査(全国)を発表した。
それによると、2024年8月の景気DIは前月比0.5ポイント増の44.3となり、2か月連続で改善した。国内景気は、観光産業や季節的な需要がけん引し、全体の景況感を押し上げた。
業界別の「運輸・倉庫」では、2.4 ポイント増。2か月ぶりに改善。小規模企業を中心に幅広く回復した。「トラック部門は4月より大幅値上げを実施、増収増益が続いている」(集配利用運送)や「運賃転嫁も少しずつ進んでいる」(一般貨物自動車運送)など、徐々に価格転嫁が進み収益性の改善もみられている。さらに、「インバウンドを中心に需要は堅調」(一般貸切旅客自動車運送)といった声のほか、夏休みも重なり観光バスは好調だった。他方、原油価格の高止まりや人手不足、中東情勢で海上輸送が不安定などといった声がマイナス材料としてあげられている。
先行きについての企業の声では、「冷凍品の需要が高まっている(冷蔵倉庫)」との期待もあるが、中国経済の低迷による影響が続く見通し(組立こん包)や「運賃の上昇があまりないなか、物価や最低賃金の上昇が利益を圧迫する(一般貨物自動車運送)」といった不安材料も挙がった。
全体的な今後については、実質賃金の上昇の継続性のほか、市場金利や外国為替レートの動向、米大統領選の行方などが注目される。インバウンド消費を含む観光産業の回復、DX の推進やグリーンエネルギー政策のほか、人手不足に対応するための自動化やロボット技術への投資は増加すると見込まれる。加えて生成 AI の普及や半導体の需要増加もプラス要因となろう。一方で、物流コストの上昇やインフレの進行、人手不足、家計の節約志向、国際的な緊張などはマイナス材料となる。今後の景気は、海外の状況など不透明な要素もある一方で好材料も多く、底堅く推移していくとみられている。