オカムラは11月27日、ピッキングロボットを遠隔操作する際の「力覚フィードバック効果」に関する調査研究を実施したと発表した。
この研究は、同社が開発を進めている自律操作と遠隔操作のハイブリッド型ロボットによる物流自動化ソリューション「PROGRESS ONE(プログレスワン)」の事業化に向けた取り組みの一環として、モーションリブ社と共同で実施したもの。
<PROGRESS ONE遠隔操作時の力覚フィードバック実験動画>
PROGRESS ONEでは、物流センターで稼働している自律ピッキングロボットが、掴むことが難しい対象物があった際に、遠隔地にあるオペレーションセンターからの遠隔操作によって、ロボットのピッキング操作を支援する。
研究では、モーションリブ社が開発したシステムを使用し、ピッキングロボットのアクチュエーターの力加減を自在に制御することができる「リアルハプティクス」と呼ばれる技術を遠隔操作ロボットに搭載。これにより、オペレーターが対象物の感触をリアルタイムで確認し、力を加減しながら遠隔操作ロボットで対象物を掴めるようにした。
実験では、オペレーター操作用ロボットと遠隔地にある作業用ロボットを接続し、物流現場で想定される遠隔操作によるピッキング作業を通して、力感のフィードバックが遠隔操作に与える影響や効果を確認。作業用ロボットが対象物に触れた際の「引っ張られる」や「押される」といった力覚情報をフィードバックすることで、オペレーターは掴む、置く、押す、といった作業を、対象物の感触を知覚して直感的に行えることを実証した。
遠隔操作ロボットによるピッキングは、操作画面による視覚的な判断だけでは、遠隔で対象物を掴むことが困難であることが課題だった。今回の研究では、視覚に加えて、リアルハプティクスを活用し、オペレーターが力感のフィードバックを得ることで、ロボットによる遠隔操作を初心者が行った場合でも、作業効率の向上や作業時のストレスの軽減を確認することができた。
オカムラは、これらの研究結果を生かし「PROGRESS ONE」の事業化に向けた研究や開発を進めていくとしている。