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連載 現場が変わる人財育成 第6回 菅田 勝

2024年02月20日/コラム

20230911sugata - 連載 現場が変わる人財育成 第6回 菅田 勝

連載第6回「Z世代の活かし方と育て方(6)」
『人財育成3つの改善コンセプト』を回して現場力を高める

明るくイキイキした職場創りを通じて物流サービスの質を高め、結果として発・着荷主から感謝され、信頼を得続ける―。このような仕組みを実現するため、物流現場のマネジメント層である読者の皆さんは、日々努力されていることかと思います。

感謝や信頼の証が「ありがとう」の言葉となり、私達の売上に繋がってきます。私達、物流サービス業の売上は、顧客からの「感謝の総和」なのです。生活雑貨品を扱うECの物流サービス代行業を例にすると、出荷1件あたり約900円の業務代行単価ですから、売上高規模90億円の会社は年間1000万件の出荷≒年間1000万件の感謝の言葉を得る必要があります。

感謝・信頼を得続けることによって、物流会社の長期的成長も約束されます。労働集約的な物流事業会社を継続(ゴーイング・コンサーン)するためには、この好循環を実現したいと全員で協力し、努力していかなければなりません。

<添付資料 現場力を高める「人財育成3つの改善コンセプト」>
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私は、物流サービス業での組織運営の要(出発点)は、「顧客第一思想の醸成」だと考えています(※添付資料の上段)。

社員だけが一生懸命になっても、荷主との間で前述したような好循環は実現できません。職場の多数を占める若手やパートさん、派遣さんの顧客満足追求への積極的な協力を得る必要があります。そのためには、彼らに顧客満足の重要性や大切さを繰り返し説明することはもちろん、顧客から「ありがとう、助かりました」という感謝の言葉があったことを、全員に知ってもらうことが大切です。

私が物流現場のマネジメントを担っていた当時は、このような顧客からの感謝の言葉をスタッフ全員に説明する機会創りに、特段の努力を注いでいました。例えば、「○○さんの迅速な物流対応に感謝していた」、「梱包ラッピングがきれいで、受け取って喜んでくれた」、「ミュージシャンのコンサートに着ていくアパレルが到着して嬉しい」、「倉庫現場の改善・5s活動がきめ細かく、見学して素晴らしかった」など、感謝の声や褒められた内容を、毎日の朝昼礼や会議の場で、該当するスタッフの名前をあげて、繰返し紹介してきました。

物流現場で働く若手スタッフの中には、これまであまり褒めてもらった経験が少ない方もいるかと思います。そういった方でも、自分の名前を紹介されて褒められれば、誇らしく、頑張ろうという前向きな気持ちになって、さらに努力してくれる好循環(スパイラルアップ)が産まれるでしょう(※添付資料の右下「工夫できるイキイキ集団メンバー創り」)。

さらに、私は荷主との定例会を行う際、荷主に来社してもらい、顧客の声を多くの現場リーダークラスが直接聴けるようにしました。また、荷主が棚卸立会いや新商品確認などで来社された際には、必ず「3分間で結構ですので、全現場作業者が参考になるような話をお願いします」とお願いし、顧客の声に触れる機会づくりに傾注してきました。こうすることで、スタッフがシャワーを浴びるように顧客の声に触れ、CSマインドを醸成してくれるように仕向けてきました。

物流現場のマネジメント層は、職場のメンバー全員が顧客からの「ありがとう」の言葉を嬉しく受け止め、励みとし、納得感を持ち(腹落ちし)、さらなる感謝の言葉を得られるよう自律的に努力する実践行動を起こせるように、「勝てる仕組み・ルール作り」を工夫していく必要があります。現場の日常管理マネジメント活動や教育体系図がそれに該当する取り組みです(※添付資料の左下)。

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変化の激しい時代、特に物流現場の若手には、「自分は何のために働くのか?」を理解できないまま、無目的に何となく日々を過ごしている人が多いように感じます。

前回(第5回)で、「ウエルビーイング(やりがい感)」が実感できる組織創りに情熱を燃やす必要あるとお伝えした通り、各々のメンバーが個性と能力を発揮し、物流サービスを通じて顧客へ新しい満足価値を提供しつつ、顧客からは感謝の言葉と支持を獲得し、そして社内的には職場(会社)から高評価され、報い報われる好循環(スパイラルアップ)の関係創りを目指してくれるよう、サポートし育成する必要があります。

若手が将来に向かって、充実した人生を歩み、元気で幸せな生活を歩み続ける、そして職場(会社)に定着し続けるための人財育成マネジメント活動ですが、そのためにも、メンバー全員の笑顔がはじけるような組織運営が必要となります。事業を通じて、どうすれば従業員や顧客に「笑顔の花」を咲かせられるか。皆の顔にはじける笑顔を叶えられるよう、次のステップとしてしっかりした「笑顔で交わす挨拶の励行」も重要です。相互の信頼関係を創るコミュニケーション活動の入り口が挨拶の励行になります。次回(第7回)はこちらについて述べていきたいと思います。

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