LNEWSは、物流・ロジスティクス・SCM分野の最新ニュースを発信しています。





連載 現場が変わる人財育成 第5回 菅田 勝

2024年01月11日/コラム

20230911sugata - 連載 現場が変わる人財育成 第5回 菅田 勝

連載第5回「Z世代の活かし方と育て方(5)」

物流現場のマネジメント層に求められる役割の1つに、「チームマインド溢れる良き組織風土を醸成する」ための取り組みが挙げられます。良き組織風土とは、最近の流行り言葉で言うところの「エンゲージメント(帰属意識)」や「ウェルビーイング(やりがい感)」を実感できる、ということですね。

この「エンゲージメント」や「ウェルビーイング」を実現するためには、物流の現場で働く個々人が個性と能力を発揮し、物流サービスを通じて顧客が満足する価値を提供することで感謝・支持され、また社内的には職場(会社)から評価され、報い報われる好循環 (スパイラルアップ)の関係創りを目指す必要があります。

職場にこうした好循環を創り出すことで、従業員が元気で幸せな生活を送り、職場に定着・貢献してくれるようになる。そのためにも、マネジメント層は組織風土の醸成に情熱を燃やすべきなのです。

物流は典型的な労働集約型産業です。一部の人が優れていれば良いサービスを提供できるわけではなく、全員が心(志)をひとつに重ねてワンチームになれた時、顧客を感動させる大きな力が生まれます。

顧客(発荷主・着荷主)に満足してもらえる物流サービスを提供するためには、若手に加え、職場で多くを占めるパート・アルバイト・派遣さん達全員を巻込み、やる気になってもらい、そして改善活動を活発化してもらう必要があります。そのためには、職場運営にも工夫が必要です。

私が拠点長だった当時は、その工夫の1つとして、「単調になりがちな毎日の繰り返し作業の中にも学びや気付き、変化や楽しみを感じてもらいながら日々頑張ってもらいたい」という思いから、作業チームや個々人の努力を労い、隠れた善行や功績などを皆に広く知ってもらうための「職場ミニイベント」として、以下のような取り組みを定期的に実施していました。

事例(1) 3か月毎の改善好事例発表会

チームリーダーから推薦してもらったGoodな改善事例を15~20件選定し、閑散な曜日などに45分間程度時間を設けて、事例の発表会を行います。会では、改善を実施した当事者(社員だけでなく、パート・アルバイト・派遣さんも)に内容を説明してもらい、参加者は各々が見たい・聞きたい事例を観て回ります。

学校での文化祭イベントをイメージしていただければ解り易いでしょうか。職場訪問者に自分の改善を説明できる晴れ舞台です。上長やリーダーではなく、自ら改善内容を説明することで、誇らしい気持ちを持ってもらえると思います。この状態は、マズローの欲求5段階説(連載第2回で紹介しています)の4~5段階目に相当しますから、彼らの業務への取組姿勢がさらに積極化していきます。

顧客(発荷主・着荷主)も招待するので皆が真剣に説明し、相互に密な交流が計られることで、顧客に信頼され、愛される『ファンベースの物流組織』の形成にもつながります。若手が皆に認めてもらい、褒めてもらえる、一石二鳥な実践的OJT活動を通じた人財育成の手法です。

事例(2)6か月毎の改善活動表彰式&サンクスデー

改善マインドを鼓舞するために、職場の通路・壁に改善提案を貼り出します。改善効果が大きい提案には表彰金(最大10万円)を出したほか、チーム単位での取り組みや、最多提案をした者、ユニークな提案内容、取り組みを水平展開した事例なども表彰の対象にしました。表彰式の最後には、6か月間の頑張りに対して、お歳暮や顧客から提供してもらった物品の抽選会も実施しました。

改善提案は、1人につき1か月1件を目標にしていました。チームの1人あたり平均が月0.8件以上になってくると、そのチームの雰囲気は従前と比べて様変わり、大いに活性化してきます。若手を含むチーム全員が、イキイキ・ハキハキとし、笑顔で仕事に取り組むようになり、『元気に出社、笑顔で帰宅』の職場になってきます。これは素晴らしい職場変化です。荷主もこの変化を肌で感じ取り、安心感や信頼感の醸成にもつながります。

このほかにも、新規業務獲得による業容拡大でフォークリフトを増車した際には、フォークリフトの名付け親コンテストなども実施し、職場を盛り上げていました。

<取組事例>
20240111sugata1 1 - 連載 現場が変わる人財育成 第5回 菅田 勝

スタッフ全員に「顧客第一義の思考+改善マインド」を持って仕事に励んでもらうためには、働いてくれる全員が面白い・楽しい・学べる・成長できる・やりがい感ある職場と感じて、定着してくれる職場運営が重要です。あなたの職場でも上記のような取り組みを実践してみて下さい。

20240111sugata - 連載 現場が変わる人財育成 第5回 菅田 勝

関連記事

コラムに関する最新ニュース

最新ニュース