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商船三井/ペトロブラス社とCTV定期用船契約と新造CTV契約交渉

2024年03月07日/IT・機器

商船三井は3月6日、同社100%子会社でカーゴ・トランスファー・ベッセル(以下「CTV」)を保有・運航するSeaLoading Holding AS(シーローディング・ホールディング・エーエス)が、ブラジル国営石油会社PETROLEO BRASILEIRO S.A.(ペトロブラス)とCTV「SeaLoader 2(シーローダー ツー)」の定期用船契約を締結したと発表した。

また、両社は2024年内にCTV新造船契約交渉に着手することを決定した。

SeaLoading社は、2022年1月からペトロブラス社とCTVの試用契約を開始し、SeaLoader 2でブラジル沖サントス盆地に位置するペトロブラス社のFPSOで生産された原油のタンカーへの積み出しに30回以上成功した。これにより、CTV技術が想定通りに機能することが立証され、2023年より定期用船契約に移行した。そして今般、ペトロブラス社と2024年内にCTV新造船交渉に着手することの覚書を締結したもの。

<シャトルタンカーとCTVの原油サプライチェーンの比較>
20240307mol1 - 商船三井/ペトロブラス社とCTV定期用船契約と新造CTV契約交渉

通常FPSO( Floating Production, Storage & Offloading System:浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)で海底から生産された原油は、原油タンカーで需要地まで輸送するが、通常の原油タンカーは船体が波や風で揺れてしまうため、FPSOから直接 原油を受け取ることができない。そこで通常は特殊な荷役設備を搭載するシャトルタンカーが一度原油を受け取り、石油貯蔵基地または船から船へ積み荷を移すことが可能な平穏な海域まで輸送し、原油タンカーへ再度積み替えるオペレーションを行う。

しかしながらCTVをFPSOと原油タンカーの間に接続することで、FPSOから原油タンカーへ直接原油を積み替えることが可能となり、原油物流の効率を格段に上げることができる。

<CTVを使用した荷役模式図および写真>
20240307mol2 - 商船三井/ペトロブラス社とCTV定期用船契約と新造CTV契約交渉

またCTVを使用することにより、シャトルタンカーによる原油転送時に比べCO2排出量を大幅に削減することが可能となり、ブラジル沿岸では、従来のシャトルタンカーが、ブラジルのサントス域で船から船へ積み荷を移すことを行う前提においては約60%、ウルグアイ沖で船から船へ積み荷を移すことを行う前提においては約80%のCO2削減が見込まれる(実際のCTVおよびシャトルタンカーの荷役場所、燃費、海象条件等により削減率は異なる)。

同社グループは、従来のシャトルタンカーによる原油転送時に比べCO2排出量とコストを大幅に削減できるCTVの今後のさらなる普及を目指し、ペトロブラスやその他石油メジャーとの協業を強化しており、原油生産・貯蔵から積み出しに至るまでのサプライチェーンにおける効率化と環境負荷低減を進めていくとしている。

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