日本郵船と同社グループのMTIは11月8日、ばら積み(ドライバルク)船による還元鉄輸送技術に関する特許を出願した。
技術は複数の技術を統合した1つのシステムで、「船倉内環境データの収集」「船倉内環境の推定」「船上の安全・品質管理支援」「陸上からの安全・品質管理支援」の4項目からなる。
今後活発化が予想される還元鉄の海上輸送において、船上輸送中の過熱や火災といった爆発リスクへの貨物管理と、船員の労働環境向上への対策を同時に実現する形だ。
船倉内環境データの収集では、IoT技術を用いてリアルタイムで船倉内の環境データ(温度、湿度、酸素・窒素濃度など)を取得・遠隔監視することで貨物のダメージリスクを軽減。
乗組員が貨物や船倉内の状態確認のために船倉内を出入りする頻度が少なくなり、転落・窒息事故をはじめとする人災や、ヒューマンエラーによる計測ミスの予防も期待されるという。
可視化システムも技術に含まれており、船倉内環境データや船倉内の安全度、さらには不活性ガス注入タイミングなどの具体的な対策案の提示も、ディスプレイ上で可視化される。
また、船上と同時に陸上オフィスなどでもリアルタイムで情報を同期することができるため、乗組員の練度のみに依存することなく、船陸一丸となった安全運航と品質管理が可能だ。
今回特許出願された技術は安全・品質管理が難しい還元鉄の海上輸送を容易にし、より安全で高品質な輸送を可能にすることで、鉄鋼業界の脱炭素化や船員の労働環境向上に寄与するという。