LNEWSは、物流・ロジスティクス・SCM分野の最新ニュースを発信しています。





国交省/次期交通政策基本計画の素案審議で、処遇改善の必要性求める声も

2025年09月26日/SCM・経営

国土交通省は9月25日、第55回社会資本整備審議会計画部会・第53回交通政策審議会交通体系分科会計画部会を開き、2026~2030年度を期間とする次期社会資本整備重点計画と交通政策基本計画の素案について審議した。

<合同会議の様子>
20250926go01 520x240 - 国交省/次期交通政策基本計画の素案審議で、処遇改善の必要性求める声も

社会資本整備重点計画の素案では、「物流は、国民生活や経済を支える重要な社会インフラであり、交通モード別の国内貨物輸送量では自動車が約9割(トンベース)を占めるなど、トラック運送業は物流の大きな役割を担っている」とした上で、社会資本整備が将来にわたって持続可能なものであるためには、運輸業など各産業のエッセンシャルワーカーである現場の担い手確保・育成が不可欠であり、処遇の改善や働き方改革、生産性向上等を総合的に実施していくことが急務であると指摘。

改正物流効率化法関連では、「一定規模以上の荷主等に対し、中長期計画や定期報告を義務付けるとともに、指導・助言等による荷待ち・荷役等時間の短縮等を図るほか、自動運転トラック、無人搬送機器、無人フォークリフトの活用など、荷役作業等の機械化・自動化等による省人化や、人材育成等への支援を進め、生産性向上を推進する」との記述に加え、「トラック・物流Gメンによる荷主に対する適正運賃・料金収受に関する周知・働きかけなどを通じて、価格転嫁の円滑化を促すほか、関係省庁と連携した商習慣の是正を図り、取引環境の適正化を進める」としている。

交通政策基本計画の素案では、2030年度までの物流革新の「集中改革期間」での物流効率化や商慣行見直し、荷主・消費者の行動変容の推進、多様な人材の活用をはじめとするソフト面での対応に加え、地域全体の産業インフラである物流拠点や物流ネットワークといったハード面の整備を推進していく必要があると説明。

その上で、新たに取り組むべき施策について、「次期総合物流施策大綱に基づき、モーダルシフトをはじめとする物流GX、自動化・機械化機器の導入などの物流DX、標準仕様パレットの利用促進などの物流標準化やデータ連携、物流拠点の機能強化といった物流効率化に取り組む」としている。

また、「多重取引構造の是正に向けた取り組みや、荷主の悪質な行為に対するトラック・物流Gメンによる是正指導等の強化などにより、サプライチェーン全体の取引環境適正化の推進や、再配達削減に向けた取り組みなどによる荷主・消費者の行動変容促進等に取り組む。その際、再配達削減等の荷主・消費者の行動変容が、経済性や効率化といった側面のみならず、物流負荷や環境負荷等の軽減につながることについて、国民的理解の醸成を促す」ことを目指す。

さらに、物流拠点の整備に関する国の方針策定や基幹となる物流拠点整備への関与・支援、公共性の高い物流拠点の整備・再構築への関与・支援を進めていくとともに、地方自治体も参画するスキームを検討するとしている。

こうした素案の内容に対し委員からは、「エッセンシャルワーカーの処遇改善の必要性に触れているが、具体的な施策の記述が必要ではないか」「労働力不足対策として特定技能制度に基づく外国人労働力の活用を行う場合には、大量に就労を認めると日本人の賃金引き下げにつながりかねないので、調整をしながら実施する必要があるが、国交省として『外国人の力を借りて地域の足や物流を守る』という姿勢を前面に出した方がよい」「これからの世代の人たちに向けて未来志向の内容も必要」などの意見が出された。

次回の合同会議では、委員らの意見を反映させた計画案を示し議論を深める。

内航船舶輸送統計/6月の総輸送量は3.2%減の2428.3万トン

関連記事

国土交通省(国交省)に関する最新ニュース

一覧を見る

SCM・経営に関する最新ニュース

最新ニュース