商船三井は10月28日、沖縄県久米島町と再生可能エネルギー事業や脱炭素事業などに関する包括連携協定を締結した。海洋温度差発電など商船三井が手掛ける事業の推進を目的に、両者の技術や知見と久米島町の豊富な資源を生かすことで、地域の課題解決と産業振興に向けた取り組みを進める。
協定のうち、「海洋温度差発電(OTEC)と海洋深層水の利活用」では、1MW級のOTEC実現に向けた取水システムの開発・設計などを推進。
「Direct Ocean Capture(DOC)」では、海洋からCO2回収をするDOC技術の実証試験や社会実装に向けた検討などに取り組む。
久米島町は、海洋深層水を地域資源としてOTECや水産分野等へ海洋深層水を複合利用する地域循環共生圏「久米島モデル」を確立しており、2040年までに島内で消費されるエネルギーの100%を再生可能エネルギーによって自給することを目標として掲げている。
商船三井は世界初となるOTEC商用化に向けた久米島町との連携をさらに強化し、2031年度内の運営開始を目指すとともに、「久米島モデル」を中心とした周辺産業への広がりとして、脱炭素に向けたCO2回収事業であるDOCの小規模実証試験の検討を開始する。
さらに、商船三井が外国人船員育成を通じて長年培った外国人人材事業の経験と知見を生かすことで島内の人口減少による人手不足を解消し、グループ会社との連携による観光産業の振興を図り、久米島モデルの拡大と地域の活性化に貢献する。
「商船三井グループ環境ビジョン2.2」で、2050年までのネットゼロ・エミッション達成を目指しており、協定での連携強化を通じて海を起点とした社会インフラ企業として、OTECによる再生可能エネルギー手法の確立と海洋深層水を起点とした地域の産業振興モデルの構築、周辺産業への事業拡大を目指す。
