セイノー情報サービスは3月27日、物流業界では初となるAIエージェント「ロジスティクス・エージェント」の開発をスタートしたと発表した。
同日、開発スタートに伴い、都内でコンセプトの説明と「ロジスティクス・エージェントで物流は変わるのか」をテーマにパネルディスカッションを開催した。
コンセプトの説明では、セイノー情報サービスの松本充博社長が「生成AIの業務利用である『AIエージェント』という言葉は海外を中心に日本でも話題となっている。この『ロジスティクス・エージェント』はロジスティクス版のAIエージェントのことで、国内では初となる。これによって物流をどう変えていくかに期待して欲しい」と語り、背景には「人手不足が確実に進行しており、人が集まらない状況」があるという。今後、劇的に進化するAI・テクノロジーを活用した持続可能な物流を目指していく必要があることから、開発に着手した。
続いて概要の説明では、立木純二執行役員が、「ロジスティクス・エージェントの効果は、様々なものがあるが、ムリ、ムダ、ムラを排除したサプライチェーンの構築」だと言い切る。さらに、「これまで担ってきた人に替わってAIが現場状況を分析判断し、未来を予測して、改善策など次のアクションを指示する」と説明した。
その手始めに、国内マクロ物流コスト(約50兆円)での管理コスト(約1.4兆円)を大幅に削減すると共に、50兆円全体の効率化を目指すとしている。
計画では、2030年までに、レベルを0から6に分け、2025年中に、レベル2~3に持っていくとしている。レベル6が到達点として、「汎用化/民主化」を挙げ、ユーザーが、利用内容や範囲を追加・変更・拡大できるレベルとしている。レベル0がデータを参照し現状を教えてくれる。事実を語る(解釈を入れない)、レベル1がデータを参照し、現状を考察する。とるべき行動を教えてくれる。レベル2が問題検知、取るべき行動を示唆。承認により自動実行してくれる。レベル3が複数の要求事項に対して、レベル2を実行できること、と規定している。
パネルディスカッションでは、ソフトバンクの子会社en-AXの鈴木祥太エバンジェリスト、ローランド・ベルガーの小野塚 征志パートナー、セイノー情報サービスの立木純二執行役員が参加し、セイノー情報サービスの早川典雄参与がモデレーターを務めた。
議論の中では、日本の現場の力が素晴らしすぎるので、中々自動化やロボット化、AI化が進まない現況があるとし、待ったなしの2030年に向けては、トップダウンが必要ということと、先行者利益として、早く最新の機器やソリューションを導入すべきだという結論となった。ただ、やみくもに導入するのではなく、お試し期間や様々なサービスを積極的に活用しながら「試す」「テストする」といったことで、導入後の失敗を未然に防ぐ必要性も強調した。
なお、「ロジスティクス・エージェント」の開発には、年間数億円規模の投資が必要で、当初は高価なシステムになるため、年商500億円以上の企業(製造業の荷主、3PL物流事業者、物流子会社等)を中心ターゲットとする。しかしAIの進展が早いだけに、普及次第で価格もこなれてくると予測している。
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