公正取引委員会は11月13日、三菱ふそうトラック・バスに対し、自社が販売する車両の部品製造を委託している下請事業者への下請法違反を認定し、勧告と指導を行った。
公取委の調査によると、三菱ふそうトラック・バスは2024年3月以降、金型等を用いて製造する部品の発注を長期間行わないにもかかわらず、下請事業者61社に対し、無償で5694個の金型等を保管させ、金型等の現状確認等の棚卸作業を1年間当たり1回行わせていた。
公取委は、こうした行為を「不当な経済上の利益の提供要請」と認定。三菱ふそうトラック・バスは対象事業者と協議を行い、21社への合意金額の支払いを済ませている。
また下請事業者6社に対し、2024年1月から12月までの間、下請事業者の給付を受領した日から起算して60日以内に代金を支払わなかったとして、指導を行った。
この支払遅延による遅延利息の額は、総額3579万1671円となっている。
三菱ふそうトラック・バスは、その全額を支払い済みで、「支払い遅延は、当社内のサプライヤー登録プロセスにおける分類上の誤りにより発生したものであり、意図的な遅延ではない」と説明。
今後、再発防止に向け運用の改善やコンプライアンス強化を図るとともに、次回以降の具体的な発注時期を示すことができない金型等については、廃棄等の対応も実施する予定だとしている。
公取委と中小企業庁は、金型の無償保管について監視を強化しており、中小の下請事業者に製造を委託している事業者に対し、無償での金型保管させる、棚卸をさせるといった商慣習を見直すよう周知している。