連載 物流の読解術 第34回:ルート配送における積載効率 -積載効率を考える(4)-

2026年01月20日/コラム

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ルート配送の特徴

前回(第33回)は、長距離貨物輸送について、3つの輸送形態(往復での輸送、復路の途中で貨物を積む場合、ラウンド輸送)について積載効率を考えてみた。

今回(第34回)は、複数の配送先に対するルート配送での積載効率を考えてみることにする。

ここで考えるルート配送とは、コンビニやドラッグストアのように複数の店舗に貨物を順番に配送するものである。店舗への配送ということから、「配送先を一筆書きで周回する」と仮定する。

ルート配送で配送先ごとの配送個数が同じ場合の問題設定

簡単な事例として、配送先が4か所のとき、以下のように考えることにする(図1参照)。

1) 配送先は、4か所(店舗A,B,C,D)。
2) 配送する貨物は、1個当たりの重量と容積が同じで、配送先ごとの配送個数も同じ。
3) 配送先ごとの配送貨物の重量は、0.5トン(A)、0.5トン(B)、0.5トン(C)、0.5トン(D)。
4) 配送車両の最大積載量は、2トン。
5) 配送先に貨物を届けるだけで、配送先の店舗での集荷はない。
6) 配送センターは配送地域にあるとし、配送先間の走行距離はそれぞれ2kmで合計10kmとする。

この事例において、「各走行区間の積載率」と「各走行区間の走行距離比」の積となる「各走行区間の積載効率」は、以下のようになる。

各走行区間とルート配送全体の積載効率

「各走行区間の積載率」は、最初の区間1で100%、次の区間2では1店舗分の貨物を降ろしたために75%、さらに順次50%、25%となり、最後に配送センターに戻るときの区間5の積載率は0%になる。「各走行区間の走行距離比」は、すべて0.2(=2km/10km)となる。 これにより、「各走行区間の積載効率(=積載率×走行距離比)」は、区間1で0.20(=1.00×0.2)、区間2で0.15(=0.75×0.2)となり、以下区間3~5で、0.10、0.05、0.00となる。

この結果、ルート配送における「全走行区間の積載効率(各走行区間の積載効率の合計)」は、0.50になる(式1参照)。

つまり、配送途中で貨物を積み込まないのであれば、出発時の積載率が100%であっても、積載効率は0.50になってしまう。

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<図1 配送先ごとの配送個数が同じ場合の、ルート配送の積載効率>
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ルート配送における「積載効率0.50の壁」

上記の例のように、出発時の積載率が100%であっても積載率の単純平均は50%(=(100+75+50+25+0)÷5)となり、各走行区間の走行距離比が等しいことから、積載率の平均値と全走行区間の積載効率は等しくなる。すなわち、ルート配送の積載効率も0.50になってしまう。

このとき、「積載効率が0.50と低いから、ルート配送の途中に集荷すべき」と考えがちだが、実際には困難である。なぜならば、仮に返品や不良品の回収、輸送用具や廃棄物の回収などがあるとしても、往路の貨物量ほどにはならない。また、回収する品目(廃棄物)によっては、配送貨物と同じトラックに積みにくい場合もあるからである。

このため、「配送途中で集荷を行わないルート配送」であれば、たとえ配送センター出発時の積載率が100%であっても、「ルート配送全体の積載効率0.50の壁」を超えることは厳しいということになる。

多様なルート配送における積載効率の考え方

そこで次の補論では、店舗ごとに配送個数が異なるルート配送について、「配送順序」や「配送センターの位置」の違いによる積載効率の変化について考えることにする。

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【補論】:数字とグラフで読み解く「物流の課題」
(その17) ルート配送で配送先ごとに配送個数が異なる場合の積載効率

中央大学経済学部教授 小杉のぶ子​

ルート配送で配送先ごとに配送個数が異なる場合の問題設定

ルート配送で配送先ごとに貨物量が異なる場合について、配送順序により積載効率がどのように変化するかを考えてみたい。

ここでは、以下のような条件のもとで考えることにする。

1) 配送先は、4か所(店舗A,B,C,D)。
2) 配送する貨物は、1個当たりの重量と容積が同じで、配送先ごとの配送個数が異なる。
3) 配送先ごとの配送貨物の重量は、0.8トン(A)、0.6トン(B)、0.4トン(C)、0.2トン(D)。
4) 配送車両の最大積載量は、2トン。
5) 配送先に貨物を届けるだけで、配送先での集荷はない。
6) 配送先において、AB,BC,CD間の走行距離はそれぞれ2kmであり、配送地域内での総走行距離は10kmとする(店舗と配送センターの位置については図2-1、図2-2、図3-1、図3-2を参照)。

以下、「配送センターが配送地域にある場合」と、「配送センターが配送地域から離れている場合」に、配送順序がルート配送全体の積載効率に与える影響について、式1を用いて示していく。

ルート配送における配送順序と積載効率(配送センターが配送地域にある場合)

ルート配送で配送先ごとに配送個数が異なる場合は、配送順序の違いにより積載効率が変化することがある。ここでは、配送センター出発時の積載率を100%(配送貨物の総重量2トン、車両の最大積載量2トン)として、右回り(配送貨物量の多い方から回る順序:ABCD)と、左回り(配送貨物量の少ない方から回る順序:DCBA)の積載効率を比較する。配送センターは配送地域にあり、店舗AとDからの走行距離がともに2kmとする(図2-1、図2-2を参照)。このとき、各走行区間の走行距離比はすべて0.2(=2km/10km)となる。

右回り(ABCD)の場合の配送先別の配送貨物量とその全貨物量に対する比率は、Aは0.8トン(40%)、Bは0.6トン(30%)、Cは0.4トン(20%)、Dは0.2トン(10%)となる。したがって、図2-1において、区間1の積載率は100%であるが、Aで0.8トン(40%)の貨物を降ろしたため、区間2の積載率は60%となる。このように考えていくと、区間3、区間4、区間5の積載率はそれぞれ30%、10%、0%となる。ここで、各走行区間の走行距離比はすべて0.2なので、ルート配送全体の積載効率は、0.40(=0.20+0.12+0.06+0.02+0.00)となる(図2-1の積載効率の算出式を参照)。

<図2-1 配送順序による積載効率の違い(右回り、配送センターが配送地域にある場合)>
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左回り(DCBA)の場合の配送先別の配送貨物量とその全貨物量に対する比率は、Dは0.2トン(10%)、Cは0.4トン(20%)、Bは0.6トン(30%)、Aは0.8トン(40%)となる。ここで各走行区間の走行距離比は、右回りの場合と同様にすべて0.2なので、ルート配送全体の積載効率は、0.60(=0.20+0.18+0.14+0.08+0.00)となる(図2-2の積載効率の算出式を参照)。

以上の試算は極端な例ではあるが、「配送貨物量の多い配送先から回るほど、ルート配送全体の積載効率が低くなる」という皮肉な結果となっている。しかし通常の配送では、燃費などの都合で、重い貨物や大量の貨物の配送先から回ることが多い。

つまり、積載効率だけを優先すべきか否かは難しい問題であり、他の指標も考える必要がある。

<図2-2 配送順序による積載効率の違い(左回り、配送センターが配送地域にある場合)>
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ルート配送における配送順序と積載効率(配送センターと配送地域が離れている場合)

次に、上記と同じように配送先ごとに配送貨物量が異なるルート配送で、配送センターと配送地域が離れている場合について、配送順序の違いによる積載効率の変化を考えてみる。ここでは、配送センターから4つの配送先(店舗A,B,C,D)がある配送地域まで、片道15km(往路も復路も15km)とする。また、4つの配送先において、AB,BC,CD間の走行距離はそれぞれ2kmであり、配送地域内での走行距離は合計10kmとなる(図3-1、図3-2を参照)。したがって、ルート配送における総走行距離は40kmとなる。それ以外の問題設定は、配送センターが配送地域にある場合と同様とする。

配送センターから配送地域までの往路と復路の走行距離比はともに0.375(=15/40)であり、積載効率は、往路で0.375(=1.00×0.375)、復路で0.00(=0.00×0.375)となる。

配送地域内の5つの走行区間における走行距離比はすべて0.05(=2/40)となる。したがって配送地域内での積載効率は、右回りの場合には0.10(=0.05+0.03+0.015+0.005+0.00)となり、配送センターと配送地域の往復を含めた全走行区間の積載効率は0.475(=0.375+0.10+0.00)となる。(詳しくは、図3-1の積載効率の計算式を参照。)

<図3-1 配送順序による積載効率の違い(右回り、配送センターと配送地域が離れている場合)>
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同様に左回りの場合には、配送地域内の5つの走行区間における積載効率は、0.15(=0.05+0.045+0.035+0.02+0.00)となり、配送センターと配送地域の往復を含めた全走行区間の積載効率は、0.525(=0.375+0.15+0.00)となる。(詳しくは、図3-2の積載効率の計算式を参照。)

<図3-2 配送順序による積載効率の違い(左回り、配送センターと配送地域が離れている場合)>
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このことから、配送センターから配送地域までの距離がゼロの場合には、図2-1と図2-2で計算したように配送順序により積載効率が大きく変わるが、配送センターが配送地域から離れている場合には、図3-1と図3-2で計算したように配送順序の影響は小さくなることがわかる。そして、配送地域で集荷がないとすれば、配送センターから配送地域までの距離が長くなるほど、全走行区間の積載効率は、配送センター出発時の積載率の半分の値に近づいていくことになる。

連載 物流の読解術 第33回:長距離輸送における往復での積載効率 -積載効率を考える(3)-

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