ヤマトホールディングは4月21日、中期経営計画、長期経営計画、東日本大震災の支援策などについて記者会見した。
<ヤマトHD木川眞社長>
<ヤマト運輸山内雅喜社長>
会見にはヤマトホールディングの木川眞代表取締役社長とヤマト運輸の山内雅喜代表取締役社長が出席した。
ヤマトグループでは、すでに中期・長期経営計画で「DAN-TOTSU経営計画2019」と「DAN-TOTSU経営計画3か年計画HOP」を発表している。
しかし、この方針は今回の大震災の影響による変更はない。木川社長によるとただ「良いスタートが切れなかった」という表現だ。長期経営計画「DAN-TOTSU経営計画2019」では、グローバル展開、地域に密着したプラットフォーム作り、ノンデリバリー事業の強化を挙げている。
このうち、ノンデリバリー事業の強化については、宅急便の勢いを今以上につけることで、ノンデリバリー事業につなげるとしている。以前、宅急便の力を落としてでもノンデリバリー事業を増やそうとしたが、失敗したためだ。今回はコアの事業「宅急便」事業をさらに強化し、断トツの商品にすることで、ノンデリバリー事業への起爆剤とする方針だ。
その一環として、羽田クロノゲートがある。この施設は宅急便だけの施設ではない。これまでは、宅急便の需要が増えるたびに拠点を整備してきたが、羽田クロノゲートはさまざまなロジスティクス需要に対応する。物流改革できる施設として位置付け、羽田クロノゲートをメインとする予定だ。航空行政にも左右されるため、確定していないが成田にも施設を作りサブ機能を持たせる考えもあるようだ。
ここでは、海外物流や付加価値の高い荷、例えばメディカル部門などで、使用された医療機器などを回収、洗浄して、展開するには、スピード的に最も適した場所だという。今後、流通加工を積極的に取り入れた展開を目指す考えだ。
一方、宅急便強化では、より地域密着を徹底するとしている。地域密着を図ることでさまざまなノンデリバリー事業が可能となる。その一つに介護に関わる事業も視野に入れている。介護事業そのものには手をだすつもりはない、としつつ介護(在宅介護が中心)につながる物流の流れの部分で、介護事業者、医療事業者と連携を取って進める予定だ。
なお、今回大震災により同社も大きな被害を受けたが、今後流通やサプライチェーンのあり方に関して大きな分岐点になるだろうとしている。在庫を減らし拠点物流が重視されたため、1か所が止まるとすべてが止まるシステムになったことから、木川社長は「今後はある程度の分散の必要性があるのではないか」と述べ、危機管理の面からも大きな課題だと語った。