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矢野経済研究所/病院の購買・物流活動調査レポート発表

2007年09月21日/調査・統計

(株)矢野経済研究所は9月20日、病院に関連する購買・物流活動の現状を調査した「変わりゆく病院の購買・物流戦略2007年版」(A4版、296ページ、12万6000円)を発行した。

病院向け購買・物流市場の現状と課題、今後の見通しを調べたほか、医薬品、医療機器、診療材料などジャンル別に、現在行われている取引の課題、規制の流れなどを絡ませて解説。

また第3章では、「新潮流を巻き起こす院内物品・物流管理事業者」と題し、事業者アンケート結果のほか、鴻池メディカル(株)、アルフレッサビップトウキョウ(株)など6社の事例を掲載した。

第4章は病院、関連団体側の意識調査結果、10病院の個別事例を掲載。第5章では、「病院の流通改革に影響をもたらす動き」として、独自の取り組みを展開する2社の事例を掲載している。

詳細は下記URL参照。
http://report.yano.co.jp/market_reports/mr.php?mr_code=C49107400

■リサーチ内容
第1章 病院向け購買・物流市場の現況と課題、今後
1.サプライチェーンマネジメント、GPO実現の可能性
  アメリカにおける医薬品・医療機器・診療材料の共同購入
  共同購入が拡大しても商慣習を打破しなければサプライチェーンマネジメント構築は困難
  病院物流の効率化を阻害する多数の流通管理コード
2.いずれが共同購入勝ち組か/病院グループ、企業による病院のグルーピング化
  物品の販売・供給拡大の目的の一つは病院グループの共同購入との競争。
  同規模、同機能病院を集め、共同交渉の体制づくりを促す企業も出現
  病院を主体とした共同購入も資本・地域の枠を越え、価格情報のみを共有するなど多様化
  共同購入の形態(例)図表
3.適正な保険請求、原価計算、トレーサビリティの確保に立ちはだかる課題
 ~コードの統一、費用負担、人材不足~
  現行の流通形態は、適正な収入獲得・コストマネジメント・トレーサビリティ確保に弊害
  複雑な診療報酬体系と互換性のない院内医療情報システム
  8割の患者別振り分けが実施できれば原価計算はほぼ満足
  ICタグによる病院の院内物流管理の効率化とトレーサビリティ確保の可能性
  誰が負うべきか、コードの統一・トレーサビリティ確保に要するコスト負担
  病院における優秀な事務担当者の確保・定着も購買、院内物品・物流管理のあり方に影響
4.行政の改革により病院流通の透明性担保、活性化は実現するか
  医薬品の流通改革を促すのは診療材料における取引の透明化・活性化
  一層の価格情報開示を求められる、供給を伴う院内物品・物流管理事業者

第2章 病院の購買、物品・物流管理を取り巻く環境の変化と業界再編
Ⅰ.医薬品
  1.実態は建値に守られた総価買い。ジェネリックを中心にメーカーと直接交渉
    時代に即した対応を難しくする既存流通ルート
    国公立病院、民間病院も含めて実態は総価買い
    ジェネリックの普及、全国規模の病院グループの共同購入などで、
    メーカー・医療機関の直接交渉に進展の可能性も
  2.医薬品共同購入の過去・現在・未来
    これまでの共同購入/薬価差益を獲得するために大量購入により購入価格を引き下げる
    現在/入院医療の包括化により差益獲得から低価格医薬品へ
    医薬分業の進行に伴い調剤薬局によるバイイングパワー強化
    未来/入院料の包括化拡大で医療の標準化が進みアイテムが絞られる
    地域連携より企業等を核にした同規模同機能の病院間による共同購入広がる
  3.未妥結・仮納入は改善するか
    制度は見直されても、繰り返される流通改善に向けた提言
    有利な取引を行うための建値交渉・総価取引が実態であれば未妥結・仮納入も解決困難
    医薬品の流通改善に向けた行政の取り組み(表)
    診療材料の低価格取引が進めば医薬品の流通改善促進の可能性
  4.トレーサビリティ確保、リスクマネジメント、
   原価計算に投資判断が求められる病棟薬剤管理
    薬事法改正により厳格化された特定生物由来製品管理を機に流通コード統一、VAN発注
    病棟薬剤の在庫管理レベルは、予算、人材、院内システム等により様々
    医薬品の在庫管理を課題に位置づける病院は、病棟における散剤・錠剤在庫の
    管理も検討
  5.統廃合・提携により医療・健康関連サービス事業者をめざす医薬品卸事業者
    再編淘汰の後も続く楽観視できない経営環境
    医薬品卸事業者に対する病院の要望/取引を行う医薬品卸事業者数を絞る、
    企業数減により利便性・競争率低下を懸念する
    医療環境の変化・病院の要望を汲み、医薬品のみを扱う卸事業者から
    医療・健康関連サービスグループへ

Ⅱ.医療機器・診療材料
  1.医薬品卸と診療材料ディーラーの提携などにより院内物品・物流管理の対象拡大
    種類が多く医薬品ほど流通ルートが確立されていないために多職種から事業参入
    一般に院内型と院外型、材料の供給を伴う事業者と管理のみを行う事業者に区分。
    顧客ニーズに合わせ材料の供給を行う事業者増加。長期にわたる信頼維持が今後を占う
    医薬品卸と診療材料ディーラーとの提携により医薬品も診療材料も供給・管理
  2.統合によりサービスエリアを広げ流通改革を促進するために他社と提携
  3.法制度の見直しと新規事業者により、顧客層・対象品が広がる物品販売(共同購入)
    汎用品を中心に低価格で一括仕入を行い病院に供給。購入量の増加に伴い
    強い価格交渉力を持ち始めた院内物品・物流管理事業者の共同購入
    独立行政法人化、規制緩和などにより購買・調達、院内物品・物流管理に変化
    仕入価格に対する不透明感を払拭する近隣・同機能を有する病院との共同購入。
    病院の経営責任者の権限で対象物品も広がる
  4.汎用品のみでは共同購入に限界。新たな購入形態を模索し始めた国公立・公的病院
    汎用品のみではコストダウン効果が年々減少
    日赤、済生会、厚生連は地域単位、全国レベル双方の共同購入に注目
  5.国立大学法人化と厳しい経営環境に、大学病院での診療材料調達・管理に変化
    交付金の減少、診療報酬マイナス改定、DPCなどにより必須になったコストマネジメント
    大量の診療材料を購入していながら払拭できない仕入価格への懸念
    民間企業との共同研究により、結果として他病院との材料価格情報共有の道を拓く
    学校法人立の大学病院では一部で価格情報を共有。
    古くからの取引慣行を見直す動きあり
    大学病院の購買の変化は、医療機器・診療材料業界にはかりしれない影響をもたらす
  6.カテーテル室・手術室の貸出在庫(預託在庫)を管理し、
   保険請求モレ防止、原価計算を実施する
    購買の一元化や管理が難しくSPDの仕組みに組み込みづらい手術室・カテーテル室の
    材料
    医療機器・診療材料の流通の流れ(例)〔図表〕
    保険請求モレが生じやすく、適切な原価計算、トレーサビリティ確保も難
    手術室・カテーテル室の材料管理徹底に注力する病院も出現。その可否は組織と
    運用次第
    2008年4月施行の「立会いの基準見直し」によって状況に変化の可能性も

Ⅲ.多様化する購買・調達・業務委託
  1.院内のあらゆる物品調達を1企業に一本化・アウトソーシングも一括委託
    院内物品・物流管理事業者の対象物品拡大・サービス内容多様化、
    病院におけるアメニティ向上・コストマネジメントの必要性が合致したミニPFI
    医療法人が給食業務を提供し、MS法人が購買、院内物品・物流管理を受託する
  2.CT、MRIなどの高額医療機器の一括調達、価格交渉支援サービスも実施
    自治体病院が民間同様の価格交渉と値引きの恩恵を受ける
    一括購入(共同交渉)が普及すれば相場価格形成に影響も

第3章 新潮流を巻き起こす院内物品・物流管理管理事業者
Ⅰ.院内物品・物流管理事業者6社の事例研究
  1.アルフレッサピップトウキョウ(株)
    日用雑貨の卸事業を担うピップトウキョウ(株)と
    医薬品卸事業者であるアルフレッサホールディングス(株)が出資
    術式別の原価管理、手術室の効率活用を促進するサービスを提供。手術室にSPD導入
    病院の要望に応じて柔軟にサービスを提供。大学病院から売店の委託も受ける
    派遣スタッフの業務の質の維持・標準化に力を注ぐ
    病院の要望に応じ、医療周辺サービス総合企業へ
  2.グリーンホスピタルサプライ(株)
    フィルムのディーラーから病院経営全般の支援へ
    物流センターは工場。汎用品のみでなく高額な特定保険医療材料まで管理
    共同購入の対象も汎用品から高額な特定医療保険材料まで。卸事業者との関係も維持
    後発企業であるからこそ大規模病院を顧客として選択
    院内物品・物流管理事業には、病院マネジメントが不可欠。
    付加価値の高いサービスを開拓したい
  3.鴻池メディカル(株)
    減菌の外部委託と院内物品管理の集約化により病院の人件費削減を提案
    対象物品は医薬品から医療材料、減菌器材、高度管理医療機器、雑貨、伝票に至るまで
    独自で開発したシステムにより、物品の特性に応じた管理、労務の省力化を図る
    仕入価格の交渉、納入業者の選択は病院に任せる
    第一弾はレンタル内視鏡のメンテナンス
    三井物産との合併で病院の購買支援に乗り出す
    鴻池グループでサプライチェーンマネジメント推進チームを設置。
    グループ外企業の協力も得て、新たな「ホスピタルロジスティクス」を提案
  4.セントラルユニグループ((株)エフエスユニマネジメント)
    物品棚製造事業から国公立病院の購買の一元化・アウトソーシングの一括化へ
    卸との関係を良好に保ちつつ、物品販売、疾患別・患者別の原価管理まで担う
    病院の要望に広く応える一括購入、包括的アウトソーシング。
    SPCを設立する形態もあり
    DPCの普及により、包括的アウトソーシングの需要は拡大。
    購買業務の一元化、物品販売を充実させる
    グリーンホスピタルサプライと役割の棲み分けを行いグループとして相乗効果を高める
  5.(株)日本ホスピタルサービス
    院外サプライセンターを中心に、当該エリアで顧客を増やすと同時に、
    新たなエリア開拓も実施
    契約病院の増加に伴い共同購入とJITSを合わせた形態が基本サービスモデルに
    材料の購買、院内物品・物流管理を顧客(=病院)の立場で実施
    新サービスとして医療材料以外の物品供給・管理にも着手
    顧客に対する付加価値を高め、新たなビジネスモデルの構築にチャレンジする
  6.(株)ムトウ(ムトウグループ)
    病院物流の担い手として納入商品の動向を把握し販売戦略に役立てたい
    他社による、SPDの非管理材料も含めた購買代行、複数年にわたる契約が第二の転機
    手術室の消費情報を管理、コスト計算を行い患者IDの共有化によりレセコンと連動
    最新版「MASTYⅢ」ではASP型の消費・発注管理も提案
    全国にネットワークを広げ、物品の統一化を図りバイイングパワーを強化する

Ⅱ.病院の購買物流管理事業に関するアンケート(企業調査)
  1.事業者個票
    (1)院内物品・物流管理を行う事業者
    ・SWHメディカル(株)
    ・(株)エヌジェイアイ
    ・(株)キシヤ
    ・北関東エス・ピー・ディー(株)
    ・(株)京都ウィード
    ・共和医療器(株)
    ・(株)ダスキンヘルスケア
    ・(有)田中医科器械製作所
    ・(株)田中三誠堂
    ・冨木医療器(株)
    ・(株)ノバメディカル
    ・山下医科器械(株)
    ・(株)ユヤマ
    ・JFEシステムズ(株)
    ・パストラルコンピューターシステム(株)
    ・アイティーアイ(株)
    ・(株)アステム
    ・(株)アダチ
    ・エア・ウォーター(株)
    ・(株)越屋
    ・(株)上條器械店
    ・クオンシステム(株)
    ・サクラ精機(株)
    ・(株)サン・システム
    ・(株)シーメック
    ・成和産業(株)
    ・セントラルメディカル(株)
    ・(株)ダイコクシステムサービス
    ・タケダ(株)
    ・(株)つくしメディカル
    ・テクノメディカル(株)
    ・東邦薬品(株)
    ・常盤薬品(株)
    ・中嶋メディカルサプライ(株)
    ・鍋林フジサイエンス(株)
    ・(株)ニチイ
    ・(株)日東
    ・(株)日本医療事務センター
    ・日本海綿業(株)
    ・日本ステリ(株)
    ・(株)バイタルネット
    ・(株)ほくやく・竹山ホールデイングス
    ・(株)ホスネット・ジャパン
    ・源川医科器械(株)
    ・(株)宮野医療器
    ・(株)メディセオメディカル
    ・(株)八神製作所
    ・(株)やよい
    ・(株)よんやく
    ・(株)エム・アール・ピー
    ・オームス(株)
    ・(株)メディカルサポート
    (2)医療材料等の販売事業者
    ・(株)大森器械店
    ・尾道医療器(株)
    ・川澄化学工業(株)
    ・(株)シバタインテック
  <アンケート集計の概要>
    1.アンケート調査の概要
    2.アンケート集計結果の概要
    物品販売・供給を行う院内物品・物流管理事業者が多くを占める
    院内物品・物流管理の対象品、その他の提供サービスメニューも豊富
    医薬品、診療材料ともに利用コードは統一されておらず他システムとの互換性なしが半数
    病院の院内物品・物流管理事業者に関するアンケート(調査票)
    回答用紙

第4章 新たな購買、物品・物流管理に着手した病院・関連団体
Ⅰ.病院関連団体の事例研究
  1.東海教育産業(株)(東海大学付属病院)
    東海大学医学部付属病院の事務部門効率化のために
    一括購買、物品・物流管理業務を受託
    医療機器の購買に関しては購入計画の段階から参画
    医師の意思がからむ医薬品・材料についてはデータを整理し大学に情報提供
    保険請求の可否に関する情報を物品マスタに持たせレセプト請求モレを防ぐ
    東海大学付属病院との連携により、大学病院経営に真に貢献する支援体制を築く
    これまでの経験・実績を活かし外部展開を図ることで、
    さらなるスケールメリット享受へ
  2.日本文化厚生農業協同組合連合会(文化連)〔厚生連病院〕
    診療材料や医薬品の足りない農村地域に材料を運ぶ
    関東周辺地区の16病院を対象にメーカーとの直接交渉を開始
    医療材料マスタの共同利用により診療材料に関する情報を病院間で共有、
    保険点数改定やレセプト請求モレなどに速やかに対応できる体制を構築
    手術支援システムに開発協力。手術室に端末を置き
    バーコードと無線LANで消費情報取得
    DPCなど医療費に包括払いが拡大するなかで共同購入・物流管理を充実させる
    EDIに対応したWEB型システムの普及をめざし医療機器業界の統一歩調を求める

Ⅱ.10の病院・病院グループ事例研究
  1.国立大学法人東京大学医学部附属病院
    医薬品・試薬・医療用消耗品計1万5,000品目の入札・物流管理の効率化を図る
    コンサル企業の運営により国立大学法人、自治体病院間で医療材料の価格情報共有も
    医療材料に付けられている、あらゆるコードに対応、
    病院の物流システムと提携させる
    年間300億円の医療材料費の適正化を視野に、まずは3%のコスト削減。
    臨床工学士の増員、交渉・契約を行う人材育成により、さらなる経営合理化へ
    コンサル企業のデータセンター構想、病院間の材料マスタ統一に期待
  2.国立大学法人山梨大学医学部附属病院
    病院の経営戦略を専門に考える組織を設ける
    物流管理システムで部署ごと、患者ごとの消費データを明示、医師の経営意識を喚起
    患者別の消費情報を医療材料費の8割まで把握
    多様な物品を管理。給食業務のみは治療の一環との考えから管理栄養士に任せる
    2009年度システム更新時に医薬品も含め物流管理システムとDPCコードを連動させる
    国立大学法人が置かれた厳しい経営環境を乗り切るために、
    処置・手術の標準化、在宅医療の担い手との連携も視野に入れる
  3.学校法人川崎学園 川崎医科大学附属病院
    形式的な管理から、既存ソフトの有効活用、
    組織的な見直しを通じて実効性の高い管理へ
    医療機器管理課と物資管理委員会、薬剤部と薬事委員会の連動で
    取扱品目の絞り込みにも奏功
    川崎病院と医薬品・一部診療材料の共同購入実施。
    同種同効品について取扱品目を絞る
    カテーテル、インプラントも含め診療材料については、
    全て院内物品・物流管理システムで一元管理
    採用した全ての材料をマスタ登録せず、
    使用頻度の高い規格のみを作成し効率化を図る
    オーダリングシステムとの連動により、患者別に消費情報を把握する
    電子カルテと物流管理システムとの連動、院外SPD導入検討など、
    病院にとり真にメリットのある方法を検証
  4.東京女子医科大学病院
    心臓血圧研究所(現・心臓病センター)の経営改善を進めるため
    共同購入を検討していた際に迫られた体制転換
    物品等購買権の移行・集約により、効果の高いコストダウン策が実行可能に
    医療現場との連携、コミュニケーションを重視し材料費の削減を図る
    次なる課題は、医事との連携による請求モレ対策とトレーサビリティの確保
    メーカー・ディーラー・院内物品物流管理事業者の一本化、近隣他院との共同交渉など、
    着手可能なことから、改善を図り続ける
    改革を支援してきた外部企業との契約終了後も医療材料管理を維持
  5.泉大津市立病院
    勤務医不足の地域にあって自治体病院間の共同購入による値引き交渉に感じる限界
    ひとつの病院の業務を一括化することでコスト削減と事業者の質の維持を両立させる
    購買業務の一元化に伴い2,000万円のコスト削減効果
    モニタリングにより質を担保し委託事業者との関係を良好に保つ
    検体検査の一元化・医薬品消化払い方式の導入などを検討
    医師不足ゆえに同等安価品への変更の対象物品を増やすことは難。
    同様の仕組みが全国に普及することで、より大きなスケールメリットを期待したい
  6.富山県南砺市(南砺市民病院・公立南砺中央病院・南砺市立福野病院・
    利賀診療所・平診療所・上平診療所)
    南砺市への合併に伴い医療施設の見直しを図る
    診療材料については院外倉庫型の物品・物流管理事業者に全病院・診療所が委託。
    価格交渉は医療局がまとめて行う
    チーム医療を意識した医療情報システムを構築。市内他施設とも情報を共有
    バーコード照合による実施入力で注射薬を管理。散剤・錠剤は今後の課題
    共同購入全国網と自治体病院の裁量権拡大による、
    材料・医薬品の仕入れ価格低下に期待
    DPCに対応した標準原価管理システムの開発、
    ベンチマーキングと地域医療システム構築
  7.社会福祉法人 恩賜財団済生会 福井県済生会病院
    高額医薬品を中心に在庫管理を徹底し保険請求モレを防ぐ
    卸事業者と薬剤部、薬剤部と病棟の二段構えで管理。
    注射薬管理棚「リテラ」と院内物品・物流管理事業者の視点を入れ期限切れを防止
    院内LANを張りめぐらし、システム管理上の在庫数と実在庫を合わせる
    ラベルのはがし忘れなどがあっても、卸との信頼関係を維持する事故届け
    トレーサビリティ確保などリスクマネジメントの徹底に比重を移す
  8.特別・特定医療法人董仙会 恵寿総合病院
    手術室・カテーテル室の在庫管理から診療材料全体の院内物品・物流管理へ
    医薬品は卸を1社に絞り、新薬・後発品ともに同じ値引き率で仕入れ
    検査も一括アウトソーシング。試薬の管理や負担から解放される
    VHJ会員病院でもあり日本ホスピタルサービスとも契約。
    最も有利な価格で材料を購入
    診療行為と必要な材料がセットでレセコンに表示され請求モレを防止。
    手術室ではシール、カテーテル室ではICタグを利用し収支差額等までデータ収集
    ICタグの普及と小型化により、原価計算の簡易化・
    精度向上とトレーサビリティを確保
    CT、MRIの共同購入、病院の委託事業の共同発注も望みたい
  9.戸田中央医科グループ
    看護業務支援、適正な原価計算手法の模索からSPD導入を経て
    仕入価格への不信感払拭へ
    グループ内で価格情報を徹底共有。企業のノウハウを獲得し終え2年後には独自運営に
    グループならではのメリットを生かし、統一物品・推奨品・統一価格を定める
    対象物品を医師の意思が反映するカテーテルやインプラントなどに拡大
    患者ごとの適切な原価計算システムを構築する
    Buyer’s Meetingの取組状況
  10.洛和会ヘルスケアシステム
    施設に倉庫スペースがない。医事請求漏れを防ぎたいとの思いで
    自らSPDの仕組みを構築
    関連法人であるミテラが価格交渉を行いシンザイが一括購入、在庫管理、配送を担う
    対象物品は消しゴムから医療材料、医薬品、高額な特定保険医療材料まで
    関連法人2社が物流に関わることで在庫管理の徹底、請求モレ対策を強化
    VHJ会員としての規模のメリットも享受。
    共同購入時の課題はコードの統一と協力体制
    東京都港区福祉・介護施設(特養・老健など)での義務付けから
    災害時に備え備蓄倉庫を持つことも考える
    85%の消費金額を占める手術室、カテーテル室の管理を強化

Ⅲ.購買、院内物品・物流に対する病院の意識調査
  1.アンケート調査の概要
  2.アンケート結果の概要
    8割以上が購買・調達のあり方に不満。要因は仕入価格と取扱品目数の多さ・煩雑さ
    56.9%が共同購入を実施。対象は診療材料・医薬品からCTやMRI、文房具、印刷物まで
    8割が共同購入による効果あり。未実施病院の半数も希望、
    効果があればグループ外でも
    品目数の絞込困難、軽費削減などの効果を実感できないケースで
    共同購入の効果得られず
    購買・調達のあり方に満足しているのは、汎用品の共同購入を開始した国公立・公的病院
    物品・物流管理事業を委託する病院は46.5%。物品の低価格供給等を求め委託先多様化
    財務体質強化と収支改善、価格情報の透明化を実現する購買・院内物流管理体制を望む

  Q1.貴院では、現在の物品(医薬品・医療材料)の購買・調達のあり方に満足していますか?
  Q2.それはなぜですか?
  Q3.医薬品や診療材料・医療機器などの院内物品について、共同購入を実施していますか?
  Q4-1.対象としている物品は何ですか?
  Q4-2.共同購入によって効果を得られましたか?
  Q4-2-1.その理由は何ですか?
  Q4-3.どのような病院と共同購入(共同交渉、価格情報の共有)をされていますか?
  Q5-1.共同購入をしたいと思いますか?
  Q5-1-1.どのような病院と共同購入をされたいと思いますか?
  Q6.院内物品・物流管理事業を委託されていますか?
  Q7-1.どのような判断で、その事業者に委託をしましたか?
  Q8.貴院において、診療材料の物流管理に使用しているコードをご回答ください。
  Q9.現在業務を委託しているか否かに関わらず、院内物品・物流事業者に
   要望したいことは何ですか?
  院内物品の購買、管理・物流に関するアンケート(調査票)

第5章 病院の流通改革に影響をもたらす動き
Ⅰ.(有)ドゥーダ
  真に効果のある病院再生ビジネスのモデル確立をめざし診療材料費の適正化に着手
  仕入価格を下げるためには、まず病院に努力を促す
  流通の透明化により病院の経費削減効果を高める
  共同交渉を支援
  医薬品の購入、CT・MRIなどの高額医療機器の導入、業務委託など、
  幅広い領域で病院のコスト削減、収入増に貢献

Ⅱ.特別・特定医療法人生長会 ベルキッチン
  病院給食の安全性の向上と業務効率化を図るため院外調理施設を建設。
  院内スペースの有効利用を図り、病院の厨房の老朽化も解決
  1996年に起きたO-157事件の渦中にいた
  ベルランド総合病院だからこそ安全性にこだわる
  患者・利用者の満足度を重視し食材を選択、食事をつくってから5日間は「美味しさ」
  を保ち適温での提供を可能にするクックチル、豊富な治療食メニューも特徴
  病院グループならではのリスクヘッジと好立地
  病院のオーダリングシステムとの連動。グループ内施設からグループ外に拡大
  京都大学医学部附属病院の給食業務落札の経緯と効果
  グループ外法人からの問い合わせ殺到。
  受託病院を増やすことでスケールメリットを得る
  糖尿病食のレトルト化など、既存ノウハウを活用しビジネスを広げる
  治療との密接な業務、患者満足度が求められる業務には病院が供給者となる可能性も

第6章 関連資料
国立大学法人の収支状況
国立病院機構病院の収支状況
医薬品の流通改善に向けた行政の取り組み
(案)医療用医薬品の流通改善について(緊急提言)
医療用医薬品の流通改善に当たって取引当事者が留意すべき事項
医療機器に関する政策・許認可等からみた歴史

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