ANAホールディングスは7月25日、越境EC物流事業者であるロケ-ションホールディングス傘下のACDに出資し、中国向け越境ECで物流ソリュ-ション「新越境EC物流サービス」の提供を9月から開始すると発表した。
展開する「新越境EC物流サービス」は、既に世界109か国で販売実績を誇る越境ECプラットフォーム“マルチリンガルカート”を運営するACDがこれまで培ってきたノウハウを活用。
OCS中国と連携の下、新たに開発する事前通関用商品登録システム「EKKYO.NET」と、ANAグル-プが展開する安全且つ確実な高速一貫輸送を組み合わせた日本で初めて提供する中国向け総合越境ECソリュ-ション(サービスモデル)となる。
これまで中国向けEC貨物の輸送・通関では、現地制度への対応不足等により消費者への遅配・未達といった事例も散見されたが、新たにスタートする「新越境EC物流サービス」は、EC貨物の新通関申告制度への対応、高速一貫輸送という2つの強みにより、中国向け越境EC市場および日本のEC事業者の双方の健全な成長に寄与できるとしている。
今後、ACDの既存顧客や国内大手家電量販店など越境EC事業者に対する「新越境EC物流サービス」の提案・物流面でのサポ-トに加え、ACDによる越境ECモールの運営等も検討していく。
なお、昨今、訪日旅行等を契機として日本の優れた商品の購入を要望する海外の顧客ニーズが高まっており、特にマーケット規模が大きい中国の消費者向けに自社商品を届けたいという日本の事業者も急速に増加している。
一方、中国向けの越境EC商品の輸送・通関については適切に対応されないケースが多く、今年4月から中国の税関当局によって越境ECに代表される個人輸入に関わる新たな通関申告制度(正式名:輸入電商用通関申告システム)が導入されるなど、関税の適正納付に向けた規制強化が進んでいる。
この新制度の下で、EDI(電子データ交換)による通関業務を認められる企業が複数社指定されることとなり、ANAグル-プの物流会社であるOCSの中国現地法人である欧西愛司物流(上海)(OCS中国)は、北京税関で当該業務の実施を認められた指定企業のうちの1社となっている。
ANAHD 決算/4~6月の貨物収入、国際線13.1%増、国内線2.9%増