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大型マルチテナント型物流施設/首都圏の空室率、エリア間格差開く

2017年10月31日/調査・統計

CBREは10月31日、「ロジスティクスマーケットビュー 2017年第3四半期」を発表した。

<首都圏LMT物流施設需給バランス>
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首都圏では、首都圏大型マルチテナント型物流施設(LMT)の空室率は5.8%と、前期から0.7ポイント上昇した。新築物件が空室を残して竣工した影響が大きい。

ただし、全体の空室率は上昇したものの、竣工済み物件の空室消化は進んでおり、竣工1年以上の空室率は、前期2.7%から今期は2.2%に低下した。引き続き根強い需要が認められ、新規需要は2013年以降の四半期平均を大きく上回る7万7000坪となった。

特に、東京ベイエリアでは、今期「物流ビルB棟」が8割以上の高い稼動率で竣工し、需要面積を大きく伸ばした。外環道エリアでは、空室率が前期5.0%から今期1.9%へ大きく低下した。国道16号エリアの空室率は今期0.2ポイント上昇したものの2.1%と依然低く、過去10年で3番目の低水準である。

一方、圏央道エリアでは、空室率は再び上昇して19.4%となった。ただし、大型テナントの引き合いが出てきている。

<近畿圏LMT物流施設需給バランス>
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近畿圏では、LMT空室率は、前期から2.7ポイント低下し15.7%となった。

今期竣工の2棟のうち1棟は、アスクルの一棟借りが報道された「GLP吹田」。もう1棟は日本最大級の「MFLP茨木」。

この2棟で四半期の新規供給としては過去最高の10万7000坪となった。いずれも大阪府の内陸部に立地する巨大な施設で、空室が限られる地域であることから大きな需要を吸引した。

湾岸部でも、前期までに竣工した物件で複数のテナント決定がみられた。eコマースが大型の需要を牽引していることに加え、日用品や家電など幅広い業種で拡張や統合移転の事例がみられる。

これらの結果、近畿圏全体の新規需要は初めて10万坪を超えて、過去最高の11万1000坪まで積み上がった。まさに供給が需要を喚起したといえる。

足元では活発なテナントの動きがみられるものの、竣工1年以上の空室率は、5.3%に上昇した。大量供給が本格化した2016年Q3以降、湾岸部で空室が長期化していることが影響している。

<中部圏LMT物流施設需給バランス>
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中部圏では、2017年に予定されていた8万9000坪のLMTの新規供給は、Q2までにすべて竣工した。したがって今期(Q3)は供給が全くない。竣工済みの新築物件ではリーシングが順調に進展し、空室率は前期18.0%から14.2%に低下した。

需要面では、ドラッグストア各社が積極的に業容拡大を図っており、配送センター拡充を目的とした大型のニーズが複数みられる。

また、成長を続けるeコマースの物流需要が中部圏にも波及してきたほか、日用品や食品・飲料といった消費財を扱う業種でも、拠点の新設や拡張移転など活発な動きがみられている。まとまった空室のある既存物件が限られてきたことから、並行して2018年の竣工物件を検討する企業も出てきている。

来期は新規供給がなく、空室率はさらに低下する見込み。実質賃料は、今期は3530円/坪で前期比横ばいとなったものの、足元では強含んでいる。

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