国際協力機構(JICA)は11月15日、インドネシア共和国との間で、2事業、総額1272億1500万円を限度とする円借款貸付契約(Loan Agreement: L/A)に調印した。
対象とする2事業のうち、一つはインドネシア政府「国家中期開発計画(RPJMN)2015-2019」でも重要視している物流機能の拡充と連結性強化に資する国際港湾の整備。
パティンバン港開発事業(第一期)が対象で、借款金額は、1189億600万円。パティンバン港開発事業はインドネシアの「国家戦略プロジェクト」の一つに指定され、2016年5月の伊勢志摩サミットアウトリーチ会合での日本・インドネシア首脳懇談において両国の象徴的事業として協力することが合意された。
事業を通じて首都圏東部(郊外)に新港を建設することで、同地域に製造拠点を有する日本企業のビジネス環境の改善に寄与する。
現状では既存港に一極集中している貨物物流の分散が図られることで、既存港までのアクセス道路の渋滞が緩和され、首都圏全体の物流の効率化に寄与することが期待されている。
1万7000を超える島から構成されるインドネシアでは、国際・国内輸送双方で海運が主要な輸送手段だが、経済成長に伴い、2000年代半ばより国全体の取扱い貨物量が急増している。
今後、港湾の絶対的な容量不足のため、港湾の混雑による物流の停滞が懸念されており、とりわけジャカルタ首都圏においては、既存港(タンジュンプリオク港)のみでは2025年にはコンテナ需要に対応できなくなると予想されている。