トヨタ自動車は4月22日、北米事業体のToyota Motor North Americaがロサンゼルス市港湾局主導の貨物輸送の「ゼロ・エミッション化」を目指したプロジェクトに燃料電池(FC)大型商用トラック10台を投入し、今秋から同トラックを使用した貨物輸送オペレーションを開始すると発表した。
FC大型商用トラックは米トラックメーカーのケンワース(Kenworth)と共同開発したもの。ケンワースのトラック「T680」をベースとし、パワートレーンはトヨタ「ミライ」のFCシステムを応用して搭載している。
航続可能距離は、平均的な1日の運送距離の2倍となる300マイル(480km)。ロサンゼルス港を拠点に、近隣のインランド・エンパイア地域やウィーニーミー港周辺のほか、北部のメルセド郡などのエリアで貨物輸送を行う予定となっている。
今秋から1台目のオペレーションを開始し、順次、合計10台を投入。運行はトヨタの物流事業を担うToyota Logistics Servicesのほか、UPSなど一般の貨物運送会社が手がける。
プロジェクトはZANZEFF(Zero-and Near Zero-Emission Freight Facilities Project)と呼ばれており、貨物輸送トラックによる大気汚染問題が深刻なロサンゼルス港やロングビーチ港で、FC技術などを用いた貨物輸送の「ゼロ・エミッション化」を目指すもの。
トヨタやケンワースのほか、エネルギー企業のシェルなども参画し、全体費用(8300万ドル)の約半分となる4100万ドルをカリフォルニア州大気資源局(CARB:California Air Resources Board)が補助する。
プロジェクトでは、トヨタとケンワースがFC大型商用トラックを投入するほか、シェルがロサンゼルス市のウィルミントン地区と内陸部のオンタリオ市に、FC大型商用トラック向けに大型水素ステーション2 基を建設し、トヨタの施設内にある3つのステーションを含む合計5基の水素充填ネットワークを使用。
また、港湾敷地内や倉庫でのゼロ・エミッション技術の応用拡大を図るため、ウィーニーミー港にゼロ・エミッションのトラクター2台を導入するほか、トヨタの港湾倉庫で使用するフォークリフトのゼロ・エミッション化も拡充していく。
これらの取り組みを段階的に進めることで、最終的に500トン以上の温室効果ガスと、窒素酸化物やPM10 などの有害物質を0.72トン削減することを目指す。
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