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JLL/新型コロナ後も物流市場は好調が続くと予測

2020年10月26日/調査・統計

ジョーンズラングラサール(JLL)は10月26日、同社がまとめたアジア太平洋地域の物流市場に関するレポートの内容を公表した。

それによると、物流セクターへの投資の拡大、新型コロナウイルスによるeコマース消費の増加、成長産業での需要を背景に、物流施設の機能や運営方法は急激に変化し、オーナーやテナント企業にも影響を与えている。こうした構造変化を遂げる物流セクターに適応するため、投資家及び企業はアジア太平洋地域における物流戦略を再考しているとしている。

新型コロナウイルスは、アジア太平洋地域全体の投資フローやテナント需要にも影響を及ぼしている。引受けの前提条件、想定賃料と空室率、資本コスト、渡航規制、不透明な価格などの不確実性を背景に、2020年上半期の物流セクターへの投資は前年比32%減少した。このような状況下でも、アジア太平洋地域の物流セクターに対する投資家のセンチメントは依然ポジティブ。

JLLのスチュアート・ロス サウスイーストアジア インダストリアル アンド ロジスティクスヘッドは「物流は依然として投資家が注目するセクター。取引数は若干緩やかになっているものの、市場は成長している。物流セクターへの投資が増加したことで、より複雑な取引が増え、新旧プレーヤーの参入が拡大しており、今後もこのトレンドは続く」と話している。

2020 年上半期における物流施設の賃貸需要は減少し、ネットアブゾープションは2020年上半期(220 万m2)から 2019年上半期(290万m2)で70万m2減少した。しかしながら、食料品の小売やヘルスサービス分野など、短期的な需要は急増している。今後もサプライチェーンは影響を受けると予測され、リスクの軽減と回復力がより重要になる。

JLLのピーター・ゲバラ アジアパシフィック リサーチ ディレクター は「新型コロナウイルスは、既に物流市場に影響を与えていたトレンド、具体的にはインターネットの普及率、ネットストアの拡大、オムニチャネル戦略、物流市場及び倉庫向けテクノロジーなど、さらにそのトレンドを加速させると思われるが、投資家や企業による物流セクターへの投資は今後も堅固で、新型コロナ後も物流市場は好調が続くと予測される」と述べている。

消費者の需要と生活習慣の変化は、アジア太平洋地域における物流戦略をも変革させている。JLL は、テナント企業の意思決定に影響を与える主要な動きを「多層階の物流施設」「ラストワンマイル物流の発展」「3PL ロジスティクスの台頭」としている。

「多層階の物流施設」では、多くの都市では人口密度が高く、施設建設用の土地が限られ、土地価格も相対的に高いことから、多くの市場で多層階の物流施設に対する需要が高まっており、特にオーストラリアとインドでその傾向がみられる。

「ラストワンマイル物流の発展」では、今後も、都市部での物流網、配送の最適化、クロスドッキングセンター、自動運転車の導入に
おいて顕著な転換が進むと予測される。

「3PL ロジスティクスの台頭」では、食料品などの小売、ヘルスケア、製薬、オフィス用品など成長産業の需要に応えるため、テナント企業は、旧型の物流施設、典型的に規模が小さく、オーナー所有の施設から、最新で好立地の近代的な物流施設に移転している、としている。

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