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日本郵船等/木材チップ輸送船にクレーン自動運転装置

2021年09月09日/IT・機器

日本郵船、日本製紙、相浦機械の3社は9月9日、相浦機械が開発している世界初の木材チップ専用船向けクレーン自動運転装置について、揚げ地での実荷役試験を8月下旬に苫小牧港で行い、効果を確認したと発表した。

<木材チップ専用船各部の名称>
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<木材チップのクレーン荷揚げ>
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木材チップ専用船の荷揚げ作業のためのクレーン操作は、乗組員ではなく陸上側から派遣された専門免許を所有する運転者によって実行される。クレーン運転者は通常、昼夜交代で作業し、一つの港で全貨物を荷揚げする場合、約3日間にもわたって連続で作業を行っている。

同装置の実荷役試験は、木材チップ荷役クレーン運転者の負担軽減を目指す取り組みの一環。

<クレーン自動運転装置の全体図>
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クレーン自動運転装置は、船上クレーンの運転室内に自動運転操作盤を実装し、運転者があらかじめ数種類定められた定型荷役動作を選択することで自動荷揚げ作業が実施されるもの。グラブに装着した3つのセンサーで、貨物倉に積まれた貨物の表面を検知し、信号をクレーンに無線送信し、グラブが下降し貨物の表面に近づくとスピードを落として着地する。同装置には、安全で効率的な作業のため、グラブ転倒防止機能やホッパー満載検知センサーを備えている。

苫小牧港で行った実荷役試験では、日本製紙と日本郵船との長期輸送契約に従事する木材チップ専用船「Growth Ring」において、クレーン自動運転装置をレトロフィットで船上クレーンに搭載。クレーン運転者立ち合いのもと、約4時間にわたって木材チップのクレーン荷揚げ作業を自動運転で行い、初期の目的である貨物の7割程度の自動荷役が可能であることを確認した。

立ち会ったクレーン運転者からは「ボタンを押せば誰でも運転ができ使いやすい」「自動運転でも安全に荷役ができた」などの感想が寄せられた。

今後、相浦機械では試験で明らかになった自動システムの有効性を踏まえ、同装置の製品化を目指す。

また、クレーン運転者の手配者である日本製紙では、各チップ船への自動システムの導入と展開を検討し、作業負荷軽減と作業環境の向上に取り組む。

日本郵船は、木材チップ荷役クレーン運転者の負担を軽減する技術の開発に協力し、安全運航を追及する。

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